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秘密(有 ・ 無)で有に○をする派
2005年11月12日(土)

「本、好きでしょ?」

と、その人はいきなりそう言った。

「え、は、はい」

私は思わずそう答えていた。
…と、そこがひとつの「元凶」だったような気がしている。

本当は本なんて五年くらいまともに読んだことがなかった。
作家の名前なんて急に聞かれても、
ナツメソウセキぐらいしか浮かばない。
なのにとっさに「本が好き」と肯定してしまった。
「本が好き」……な、人か?私は?
世の中で言うところの「本が好き」な人とは程遠い読書量。
体調を崩したこととも大いに関係のある「活字恐怖症問題」だけに、
とっさに嘘をついてしまったのではないか…
そこからずっと、そんな罪悪感に取り付かれてきた。
だが最近、それらから“開き直る”ことで解放されつつある。

冒頭の人物がそもそもなぜ唐突に「本、好きでしょ」と
聞いてきたのかについて、あらためて考える。
そういえばその人は、直前に私の書いた文章を一読していた。

ということは、少なくともその人はそのとき、
私の描いた文章に「本が好きな人が書きそうな文章」という
印象を得たということだろう。
だったら、これまでのことについては誤魔化しながら
これから本を読んでいくしかないんじゃないかと思った。
力がないなら、できるかぎり頑張ればいい。
センスがないなら、磨けばいい。
才能がないなら、違う武器を見つければいい。
空のコップに水をいれるようなシンプルなイメージ。
ああそうとも、何にも入っていないさ。

自分があまりにもすっからかんだということを
身にしみて思い知らされるたび、
こんなふうに開き直ることにしている。
学生時代に身につけた考え方である。
そうでないと、だって、
その場からいなくなるしかやりようがないじゃないか。
体が悲鳴をあげるまでは、いなくなったりしないつもりなので、
今のところは、平和に開き直っていたいと思った。