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2002年08月21日(水) 糖尿病性腎不全に対する降圧剤の第1選択にCa拮抗剤は入っていない

新規導入透析患者さんの原疾患第1位(37%)を糖尿病が占めるようになってから、透析学会でも糖尿病性腎不全の治療についての議論が活発になってきている。

腎不全治療の3本柱として、血圧のコントロール・吸着剤・食事治療があげられるが、最近では腎保護作用を有するARBのことがよく言われる。
実際、2001.5RENAAL試験で、ARBであるロサルタント(商品名ニューロタン)が2型糖尿病の進行を抑制することが証明されている。

また米国糖尿病学会勧告では、降圧目標は130/80mmHg以下と、日本よりやや厳しくなっているが、その勧告では降圧剤に関しても第1選択がACE・ARB・β遮断剤・利尿剤となっており、Ca拮抗剤ははずれているというのにビックリした。

日本では長期作用型Ca拮抗薬がたぶんもっとも頻繁に用いられており、日本糖尿病学会の勧告でも降圧剤の第1選択としては、ACE・長時間作用型Ca拮抗薬・α遮断薬と記載されているのだ。

岡山RENAAL講演会というのが開催されており、『糖尿病患者の腎臓を守るために』という題でディスカッションが行われた。
その中でも、ACE阻害剤とかARBが降圧剤として臓器保護作用もありRA系を抑制することのメリットがディスカッションされている。

その中で東海大の黒川先生ははっきりと、Ca拮抗薬には降圧作用以外の効果による臓器保護のエビデンスは出ていません、と明言されている。
また、Ca拮抗薬は輸入臍動脈を広げるので、なるべく用いない方がいいでしょう、とも述べられている。

やはりCa拮抗薬を使ってしまう自分としては、そうなのかと思わされました。
新しい知見として、ARBと利尿剤の合剤がアメリカでは広く用いられているとかも書かれていて、世の中、やっぱりアンテナ張り巡らせとかんといかんですね。

(参考文献Medical Tribune2002.6.27号)


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