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2002年08月13日(火) 皮内反応について

風邪とかひいたり、すっごく高い熱がでて医者に行くと、点滴をしましょうとかいう話になります。また患者さんの方から抗生剤の点滴をお願いしますと希望されるケースもあります。
その時、抗生物質の皮内反応をしてこの薬は大丈夫とかだめだとかやります。前腕に細い針で注射して蚊にかまれたようなあとを作ってみるアレです。アレって点滴の前に20分くらいかけてするので、けっこうめんどくさいのですが、ショックとかが起こるかどうかをあらかじめ推定するためにやむおえず行っているのです。

ところが、抗生剤投与前にする皮内反応について、日本化学療法学会はテスト中止を提言する方針を固めた、というのです。

その裏付けとしては、
1.アレルギー皮膚試験は、病歴からアレルギーを疑う患者のアレルギーの有無を皮膚反応として調べるものである。アレルギー歴のない患者でアレルギーの有無を調べる検査ではない。
2.皮内反応による皮膚反応と、注射による有害事象の有無には相関はみられない。
3.アメリカではペニシリンアレルギーのある患者においてのみ皮内反応が行われているが、アナフィラキシーショックの頻度は日本より低い。

ゆえにショック出現時の体制を整備している上で、アレルギー既往のある患者にβラクタム剤を静注する以外は皮内反応は中止すべきであるというものです。

さて、当院でも、今まで明らかに抗生剤によるショックかなと思われるけいれんのようなものをミノマイシンで経験したことがありますが(ちなみにミノマイシンは皮内反応をするようには記載されていない)、そのほかは、特別なことは起こっておりません。
患者さんが待つ時間を減らすという意味では、時間のない患者さんでは皮内反応は省略した方がいいのかもしれません。

(参考文献;日経メディカル2002.8,p26-27)


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