蜜白玉のひとりごと
もくじ|かこ|みらい
川上弘美『ざらざら』は主にクウネル連載の掌編を集めたもの。どれも短い話で、細切れの時間に2、3編読むのにちょうどいい。見たことがあるような題名はたぶん買ったクウネルで読んだものだ。でも話の筋はまったく覚えていないので、はじめて読むのと何も変わらない。
川上弘美の作る話の中はいつでもお酒が楽しそうに見える。そう言えばもうずいぶん長いこと、外でお酒を飲んでいないことに気づく。この場合の「外でお酒」は仕事がらみじゃない楽しい予定のことだけれど、仕事がらみですら今の職場は飲み会というものがほとんど皆無(つい最近新年会をやったのがこの2年間で初めてのこと)なので、ますますそんな機会はないことになる。
これはすごいことだ。ちょっと自分でも驚く。そのあまりの機会のなさ加減に。かと言ってそれがなにか不都合だったかというと、そうでもない。外にお酒を飲みに行かないことについて「何も感じていなかった」というのがいちばん驚くところかもしれない。
結婚してからは、特に今の職場に移ってからは、自分から誰かを誘って飲みに行く、ということはなくなった。誰かから誘われれば、いったん保留して相方の予定を聞いてみて、その日ご飯がなくて私が遅くなってもよければ、行く。別に縛られてるとかそういうのではない。単に昼も夜も外食じゃあ落ち着かないだろうな、私もそうだし、という思いがあるからだ。うちのごはんを食べないでいると、体がだんだん疲れてくる。いつの頃からかそういうふうになってしまった。
でも、仲良しの人や会いたかった人と外でお酒を飲むのはいいことだ。それには浄化作用みたいなものがある。お酒と人と場の効用。大勢はにぎやかでいいけれど、どちらかと言えば2人とか3人とか少人数で飲むのが好きだ。相手の話がよく聞こえるのがいい。言葉以外に伝わってくるものもたくさんある。そういうのが楽しい。お酒の味も濃い感じがする。
|