蜜白玉のひとりごと
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武田百合子著『富士日記(下)』を読む。いつも買おう買おうと思うのに、ずっと前本屋に行った時、たまたま下巻しか置いてなかったせいで、上中下あるうちの、いまだに下巻しか持っていない。読みたいときは図書館で済ませていた。
今までと違って、老いていく泰淳と百合子の心のありようが、じわじわとこちらへ沁みわったってくる。読みながら、電車で泣きそうになってやっかいだ。
どんな種類の病気でも(あるいは不慮の事故でも)死ぬのは一度きりだし、死んでしまったらもう二度と生きて会うことはできない。どんなに悔いのないようにと思って暮らしても、絶対に悔いは残るのだ。その悔いを抱えたまま、自分もやはりいつか死ぬまで生き切るしかない。
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