蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2007年06月12日(火) 2倍/『ルーガ』『夕子ちゃんの近道』

暑い。日差しがもう真夏のようだ。こんな日はトマトやきゅうりがおいしい。

小池昌代著『ルーガ』を読む。小池さんは詩人だけれど、この頃は小説も書く。言葉選びが慎重で、普段なら見過ごしてしまいそうなほんの小さな心の揺れもしっかりと捉えて、えぐる。それがぞっとするほど怖い。表題作「ルーガ」も続く「ニギヤカな岸辺」も、たんたんとした日常を微笑ましく描きながら、最後にはしんと静かな狂気を感じる。ああ、見てはいけないものを見てしまった。気づいてはいけないところに気づいてしまった。もう戻れない怖さだ。3つ目の「旗」は以前に「群像」か何かで読んだので飛ばす。

今、とにかく「本を読みたい病」で、図書館で片っ端から良さそうな本を予約しては借りている。そうでもしないとうっかり本屋さんへ行ったときには底なしに買ってしまいそうだから。

住民税の振込用紙が届く。ものの見事に昨年の2倍で、ああこんなに払いたくないなあ、と用紙とにらめっこ。こうなったら、今までの2倍、図書館で本を借りてやる!

ずいぶん前に書き忘れ。
長嶋有著『夕子ちゃんの近道』を読む。第1回大江健三郎賞受賞作品。大江健三郎が一人で選ぶ賞。賞金はなく、英・独・仏のどれかに翻訳して海外で出版することが約束されるらしい。賞金、ちょっとぐらいつけてあげてもいいんじゃないかな、と思う。『夕子ちゃんの近道』はまだ読んでいなかった。さっそく図書館で借りて読む。生活に疲れて人生の夏休みをしている人を書かせると本当にうまいなあ、と今回も納得。だめなときはだめなんだ、と一回あきらめて沈んで、でも腐らずに、徐々に浮上していく。そのどこか健やかな感じが大好きだ。


蜜白玉 |MAILHomePage