Deckard's Movie Diary
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2008年09月11日(木)  イントゥ・ザ・ワイルド

『イントゥ・ザ・ワイルド』
ショーン・ペンの監督作、第4弾。例によって、結局は思い描いていた通りにはいかない男の物語でした。だからと言って、決して情けない内容ではなく、その主人公を見つめる目線はいつも通り限りなく優しいです。優しいのですが、どうにも納得出来ませんでした。今までの彼の作品の中で、個人的には一番辛かったな・・・。映像も美しいし、主人公が出会う人々や出来事の描き方も丁寧で、そういう意味では完成度は高いと思うのですが・・・この主人公ってちょっとオツムが足りないんじゃないですか?どう考えても、こんなことしてたら死ぬでしょ!大体、春になれば川幅が広くなるのは当たり前だし、どうしてあんなカタマリ肉のまま燻製にしようとしてるんですか?ビーフジャーキーとか食べたことないんですか?ちょっと薄く切れば済むコトでしょ!大学を卒業している人間としては、あまりに無知で笑うしかありませんでした。“物質文明から逃れ、究極の自由を手にいれる旅”と言えば聞こえは良いですが、ぶっちゃけ、この主人公の行動は緩やかな自殺と一緒ですよ。ヘルメットをかぶらず急流を下り、「お金が無い旅の方が楽しかった!」と答える。死に近ければ近いほど、生命を謳歌出来るという刹那的な考え方って、どうなんですかね?もちろん、この主人公はそんなことを考えてはいませんが、彼の行動はそういうことです。『荒野へ』なんて、美しい題が付いていますが、オイラには世間知らずのお坊ちゃまの無謀な死への行軍にしか見えませんでした。もちろん、運が良ければ生きて戻って来たんでしょうけどね。“純粋”と“無知”とは違いますし、この主人公の場合は“無知”をも通り越した“無謀”って奴ですね。そんでもって、最後に「死にたくない・・・」って、意味が分かりません。生きる希望を見つけたんでしょうが、その前に死んでしまうかもしれない覚悟も無かったことに唖然としてしまいました。毎日、会社でうんざりするような出来事ばかりと向き合っている人々に、大自然の美しい映像と“どこまでもいこう!”的な自分探しの旅を見せ、「ああ、あんな風に生きられたらなぁ・・・」と思わせる息抜き的な作品ですが、内容はお粗末以外のナニモノでもありませんでした。それでも観て損はありませんでした。遠い昔に忘れていた“純粋”とか“無垢”とかいう気持ちを多少なりとも思い出させてくれましたからね(あらら)


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