suzu3neの雲収集家な日々

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2006年11月09日(木) ぷれぷれ。

あ、そうそう。
コミケ落ちました。
「有明で僕と僕で握手!」(?)企画は発動する前に頓挫しました。
出かける方は私の分も楽しんできてくださいな〜。


さて。昨日予告したとおり。
マンションの住人として使い始める前に、小説の脇役(ある意味メインか?)として書いていた頃の船長たちのテキストを微妙な長さでピックアップです。

……ですが。

なんか、先日は読めば読むほど「(今の)船長はこんな事いわねぇ!(爆笑)」だったんですが。

今日になって「あ、言うかも」「あれ? マンション時代って確かにこんな感じだったかも……(滝汗)」なモードになってきまして。

公開すると言ってしまった事を絶賛後悔中(洒落じゃないっすよ?)


でもまあ、暇つぶしぐらいにどうぞ。
ちなみに、かなり前の文章だったので、どうしてもアレな書き方だけ修正しました。ルビも青空文庫対応で。
文章が若い&薄くて恥ずかしすぎる……(涙)


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「……とにかく、私はあんたについてくよ。契約の十年も終わっていない」
「そんなの、君が勝手に決めた事でしょうが。たのみますよ、ヴィー。君はもう私に関わらないほうがいい」
「ロジュはどうするんだい? あんたの魔術が効かなかったのは見ただろ?」
 ごちゃごちゃ装飾のついた左手の剣が飛来したエネルギー弾を叩き落とした光景は、ヴィーだけではなく、船長の目にも焼き付いているだろう。
 船長の声は渋ってるのを露骨に表現する。「だから、です」
「?」
「敵の正体が、見えたような気がします。あんな物を造れる人間はそうそう居ない。かなりの腕だ。だから、これ以上私の傍にいるのは危険です」
 衣擦れの音がした。よく見えなかったが、クラシスが立ちあがったようだ。
「リ・ソイ・ファンと話しをしに行きましょう。トレイル君、大丈夫ですか? 行きますよ」
 バレてる。
 気まずさに顔が赤くなるのを感じながら、トレイルは横になっていたベッドから起きあがる。
「ここ、何処ですか?」二人に習って、囁き返す。
「『星杖通り』の『東方美人』って宿です。『白月』で逃げようとしたら、既に占拠されていたんでね、ファンに匿ってもらう事にしました。出来るだけ早いうちに奪還して逃げるつもりですよ。……君は暴走の疲れもあって、龍の背中の上で酸欠になって気を失ったんです。あの後丸一日、ぐっすり眠ってましたねぇ……まぁ、あの日はいろいろありすぎたから、限界だったんでしょう。大丈夫ですか?」
 そうだ。風が強すぎてうまく息が出来なかったのだ。
 あの時は、朝から魔術師ギルド、劇場、『白月』、そして大聖堂だ。おまけに暴走。動きすぎてる。体も眠り込みたくなるだろう。
 起きあがってみると、暴発した後にはうまく動かなかった体が、違和感なく動いた。
「大丈夫みたいです」
「結構。さて……ファンとカノンに会いましょうか」
「船長、話はまだ終わって――」
 ヴィーがブスッとした声で抗議するのを、船長は手で制した。
「どっちにしても、私は一度、シラトスを出ます。『白月』を取り返してからね。半年ぐらいほとぼりを冷ましてから考えますよ。それでも私についてきますか?」
 ヴィーは沈黙。迷ってるのだろうか。
「でも、脱出するまでは居てもらうと嬉しいですね。カノンと私だけでは、少々心もとない」
「嘘つけ」ヴィーの声は本気で怒ってる。からかわれたとでも思っているのだろう。
 船長はあっけらかんと
「本気ですよ。貴女が居ないと、邪魔するヤツを必要以上に殺したくなっちゃうんです、私は」
「……」
 第三者的に会話を聞いてるトレイルでも、さすがにその言い方はどうかと思う。
 ステッキを抱え込んで船長は扉を開ける。廊下の向こうから、ホントに微かだが光が漏れているのが見えた。それに向かって一行は進む――「!」足を踏み外して転がりかけたトレイルを、ヴィーが後ろからヒョイと摘み上げる。襟首を掴まれ、まるで子猫だ。情けない。
「あ。階段があるっていうの忘れてました」陽気な船長の声。
「早く言ってくださいよ!」
 再びトレイルは赤面する。
「まぁまぁ、転げ落ちなかったんだからいいじゃないですか」
 船長はあっけらかんと呟く。それを聞きつけたのか、階下から「船長?」と少女の声。カノンだろう。
「今行きますよ。ファンは?」
「僕なら居るぞ」
 階下は、どうやら地下貯蔵庫のようだ。積み上げられた木箱と酒樽の奥に、小さなテーブルと一つの光が灯っていた。蝋燭のようにも見えたが、よく見ると小さな球体が燭台に乗せられているだけだ。
 リ・ソイ・ファンはトレイルの視線に気づいたのだろう「野営用の灯りだよ。大陸商人には便利な魔術品さ」と独り言のように言った。
相変わらず、派手な模様と色使いを散りばめながらながらもスラリとした東方服、ちょこんと鼻に乗せているような丸眼鏡だ。妖精のようなレースを何重にも重ねたスカートだが、装飾らしい装飾の無い質素なカノンとは対照的である。
 クラシスはテーブルに載せられた、自分のシルクハットに目を止めた。
「どうしたんです、これ? 騒ぎの中で落としてきちゃったんですよね」
「〈反射目〉が渡しておいてくれって。裏ギルドの長が、協力するって言って来たってさ。これはその証だって」
 クラシスはしげしげとそれを眺めると、ポケットから白絹の手袋を取り出した。それを付けて、注意深く羽根飾りを毟り取る。飾りの裏蓋を手袋をつけた指でこする。真っ赤な錆のような物が落ちた。こすり続けながら
「カノン、帽子とこの手袋は処分しておいてください。私はこれがあれば結構」
「なんでそんなコトするの?」
「用心を重ねておいて損はありませんからね。裏ギルドが暗殺専門なら尚更だ」
 クククと、リ・ソイ・ファンはおかしそうに笑った。皆の視線に気づいて、ニヤリとする。
「悪いな、笑ったりして。でもこんなに慎重なお前を見るのは初めてなモンでさ、ビックリしちまった」
「別に。気を使ってもらうつもりはないよ。そんなの、お前には期待してない」
「言ってくれるぜ。さて……どこから話そうか?」
「『白月』の方はどうなってるか、掴めるかい? あれで逃げたい。あれは簡単に手に入るものじゃないからな」
 空を飛ぶのが禁忌の大陸では、そういう類の魔術は随分昔から研究されていない。そんな乗り物がある事自体が奇跡的だ。
「『白月』か……実はな、あれを、当局が売りに出すらしいんだ」
「勝手な事してくれる」
「あんなおかしなモン、教会の庭に置きっぱなしにしてたら、おっかないティルマ・アギエが白目むいて怒り出すとでも思ってんだろ? お前が1・5倍で買い取ってくれるんなら、俺が丸ごと買い占めておいてもいいぜ」
 ファンは再びクククと、トレイルにはどうしてもなじめない東方風の不思議な笑い声をあげる。
「競売リストだけなら今もある。見るか?」
「いや、いい。言い値で買い取るから、何とか全部手に入れてくれ。それと物品確認の時はカノンを連れて行ってもらいたい。一足先に運んでもらいたいものがある」
「なにが欲しいの?」カノンが無邪気に尋ねると
「確か品番はSRPP―947。ズィーリグの魔紋観測用天体望遠鏡だ」
 彼は事も無げに言い放つが、この場でカノン以外の誰一人として、そんな道具など聞いた事もない。田舎者のトレイルは当然の事、ヴィーもファンも、目をパチクリさせて二人のやりとりを見守っている。
 ズィーリグといえば、南方に独自の天文学解釈による文化を築いているから、そんなワケのわからない道具を作る者もいるのだろう。
「あんな物を? 何に使うの?」
「大司教使は『ほしふり』と言い残した」
 クラシスは腕組み。トントンと手の中のステッキを指で叩きながら
「『ほしふり』――単純に考えれば『星降り』だ。見ておくに越した事はないね……そうそう、ファン。もう一つ頼みたいんだ」
「なんだ?」
「部屋をもう一つ、出来れば他の宿泊者から離れた場所に借りたい。お前の部屋も含めてだ。どんなに狭くてもいい、屋根裏でもね」
「出来なくもないけど、どうして? 今の部屋が狭いのは我慢しろよ、仮にも隠れてるんだぜ、お前ら」
 信用されていないとでも思ったのか、ファンはムッとした顔で聞き返す。クラシスは困り顔で
「でも、早めにやっておかないといけないからな」「だから、何を?」
 クラシスが振り返る。
「トレイル君。早くアオスカシが造れるように、頑張ってくださいね」
 ……。
「え……ちょっと、待ってください!どうして、こんな時にまで――」
「盗み聞きしてたでしょ?」
「罰ですか? でも――」
「人聞きの悪い事を言わないでください。私の言ってるのは、な・い・よ・う」
 コツンと、ステッキで自分の頭を小突く。
「これ以上私の周りに居るのは得策ではありません。『傷持ち』《暴走経験者》なら尚更。私だって、君に足を引っ張られるのは御免だし。さっさとアオスカシを造って、さっさと新しい師匠を探しなさい。私の読みが正しければ、君が師匠探しをしても危険はないはずだから。で、ファン。手配できますか? 滞在が長引くようならそうしたいって事で、そんなに急がなくてもいいんですけど」
「出来るようにはするけどな、頼むからこの店ふっ飛ばすなよ? 気に入ってんだから」
「結界を張るから大丈夫だって。特別性のヤツをね」
 とりあえず『白月』で逃げるまでは皆一緒の方がいいでしょうと、船長は締めくくった。


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見覚えのある名前もいくつかあるかと思いますが、実はこちらの方が先なので、後から書かれたのは「名前考えるの面倒病」による手抜きです(苦笑)

ファンに関しては、たぶん「第○代目リ・ソイ・ファン」であろうと思われるんですけど……ヴィーはどうなんだろ?
……。
そのうち考えておきます(スクイズ失敗)


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