僕の手はどこに伸びているのだろう? この手は誰に見えているのだろう? 僕にさえ見えないこの手に、誰が触れてくれるだろうか? 僕は手を伸ばす。 貴方に向かって伸ばす。 貴方はそっぽを向いたまま、僕の知らない誰かと話す。 僕は手を伸ばす。 僕を見ているあの子の頬に。 笑ったあの子は彼方の鳥に手を振っていた。 僕は手を伸ばす。 明後日の光に照らされる幻覚は、僕だけのもの。 僕は手を伸ばす。 伸ばす。 すり抜けるものばかりでも、僕はこの手に触れようとしたものを覚えている。 僕は手を見る。 手を見る。 僕にさえ見えないこの手に、誰が触れられよう? この手は誰に見えているのだろう? 僕の手はどこに伸びているのだろう?
僕は手を作る。 僕の手を作る。 今は輪郭しかないけれど、誰かが気づいていると知っている。 僕は手を作る。 僕の手は僕の手を取る。 そしてこのワルツの彼方に君を見つける。 もしかしたら、もう見つけてしまったのかもしれない。 僕には手が見えないからわからないけれど。 君の為にもいつか必ず、僕は僕の手を作りあげる。 作り損ねたすべての手を、僕はみんな覚えているから大丈夫。
みんな覚えているから大丈夫。
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