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1948年7月30日、ジャン・レノが生まれました。 今や「フランスを代表する」大スターですが、 生まれはモロッコのカサブランカ、 御両親はスペイン系というバックボーンがあるようです。 そして、『グラン・ブルー』や『レオン』に見られるように、 イタリア系の役のイメージも強い人ですね。
本日御紹介の作品でも、イタリアの田舎町の 気のいいオヤジを好演していました。
ロザンナのために For Roseanna 1997年アメリカ ポール・ウェイランド監督
マルチェロ(J.レノ)とロザンナ(マーセデス・ルール)は、 イタリアの田舎町で食堂を経営する、仲のいい夫婦です。
ところで、ロザンナは実は病気を患っていて、 自分が死んだら、 幼いうちに亡くしてしまった娘のそばで眠りたいという 願いを持っていました。 となると、現実問題として、村内で不足気味の墓地が 妻にもちゃんと回ってくるよう、 「村からこれ以上死者を出さないこと」が重要になってきます。 マルチェロはそのために、「雨ニモ負ケズ」ばりの東奔西走で 妻の願いを叶えようと奮闘するのでした。
ロザンナはロザンナで、 自分が死んだ後のマルチェロの身辺が心配で、 マルチェロとは決してうまが合わない 自分の妹セシリア(ポリー・ウォーカー)を 後添いにと考えるなど、 腹が据わっていました。 (しかもの胸に秘めておくわけではなく、口に出しちゃっちゃってますし)
さあ、マルチェロの努力は報われるのでしょうか。 そして、ロザンナの命の行方は……?
愛する人にはずっとそばにいてもらいたいと思うのは 言うまでもなく、ごくごく自然な感情で、 「私が死んだら…」「ばかだなあ、君が死ぬもんか」的やりとりは 多くのテレビドラマや映画で見られるシーンです。 けれども、現実として死に至る病を得てしまったなら、 せめて、本人の心からの願いを叶えてやりたいという、 その部分だけを切り取って映画化したというところに 何というか、潔さのようなものを感じました。 まるで死ぬのを待っているよう、と、とれなくもないけれど、 この映画を見てみれば、そう感じる人は余りいない気がします。 大前提に納得できないという方には、無理におすすめしないものの、 心温まる空気の流れを感じる、ユーモラスでちょっといい話というのは 間違いありません。 「そうか、泣いてほしくて作ったんじゃないのか…」と感じる ラストへの運びもいい感じでした。
ジャン・レノにはコメディは不向きという意見もよく聞きますが、 あの不器用そうな感じは、この映画には合っていました。 達者な役者に小器用にこなされると、 それこそ「死ぬのを待っている」ように 見えたんじゃないかと思います。
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