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2004年07月18日(日) 映画よろず屋週報 Vol75

*****映画よろず屋週報 Vol75 2004.7.18 **************

1817年、イギリス閨秀作家の代表格
ジェーン・オースティンが41歳で亡くなったそうです。
ざっと200年近く前ということになりますが、
彼女の作品群は、今も映画のモチーフとして愛され、
現代の日本で見られたり見られなかったりしています。

そこで本日は、その映画化作品と、
原作がヒントとなっている作品、
また、作中でタイトル名が印象的に使われた作品などを、
ちょこっと集めてまいりました。

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いつか晴れた日に
Sense and Sensibility

1995年アメリカ アン・リー監督

原作の平均的日本語タイトルは「分別と多感」
それぞれ、三姉妹の長女(エマ・トンプソン)と
次女(ケイト・ウィンスレット)の気質を
あらわしているようです。
(ちなみに三女はまだ子供…というより、
トンプソンの娘といってもおかしくないような子が演じていました)

19世紀初めのイングランドの田園を舞台に、
主に姉妹2人の愛し方、愛され方を微笑ましく描いた
品のいいロマンチックコメディーでしたが
「え、これ“アメリカ映画”なの?」
「監督って台湾出身のあの人?(李安)」と、
後からたくさん驚かされた、
とっても「英国の薫る」映画でした。
達者で多彩な女優エマ・トンプソンは、
この作品でアカデミー脚色賞を受賞しました。

エマ Emma
1996年イギリス/アメリカ 
ダグラス・マクグラス監督

舞台背景は、上記の「いつか晴れた日に」とほぼ同じ。
魅力的な貴族の娘エマ(グゥイネス・パルトロウ)は、
自分の恋愛そっちのけで、周囲の「消極的な人々」の
恋愛関係を取り持つのが大好きという、
はた迷惑なはりきり屋さんでした。
似合っているんだかいないんだかいまいちわからない
ユアン・マグレガーのノーブルなコスプレも拝めます。
ちなみに、この1年前の1995年製作で、
エイミー・ヘッカリング監督、
アリシア・シルバーストーン主演で
現代アメリカのリッチな高校生たちの
学園コメディー仕立てにした作品が『クルーレス』ですが、
こちらはこちらでなかなかお勧め。


高慢と偏見
Pride and Prejudice

1995年イギリス サイモン・ラントン監督

「金持ちで独身の男性は…」云々という書き出しが
この作品を傑作たらしめた、というほど有名ですが、
(人によって訳が少しずつ違うので、
中途半端に引用してしまって申しわけありません)
例えばこんなふうに、
映画・ドラマの素材として見る者にとっては
本当は惹かれ合い、結び合う運命にありそうな男女が
最初は反発し合ってけんかばかり、というのは
ロマンチックコメディとして絵になります。
BBC製作のテレビムービーですが、DVDが出ています。
めちゃくちゃ長い作品なので、日本ではNHK衛星及び地上波で
3夜に分けて放送されました。
言われてみればそうかも、という感じですが、
映画「ブリジット・ジョーンズの日記」も、
この作品がモトネタのようです。


ユー・ガット・メール
You've Got Mail

1998年アメリカ ノーラ・エフロン監督

商売敵とは知らず、30代のチャットルームで意気投合した
男女(トム・ハンクスメグ・ライアン)が
繰り広げるラブコメディー。
1940年のエルンスト・ルビッチ監督作
『桃色の店』のリメークですが、
主人公が会う約束をするシークエンスで、
女性が目印になる本を持ってきますが、
『桃色…』でトルストイの
「アンナ・カレーニナ」が使われていたのに対し、
この『ユー・ガット…』では、『高慢と偏見』でした。
なかなか含蓄のある選択ではあります。

華氏451
Fahrenheit 451

1966年イギリス/フランス
フランソワ・トリュフォー監督

読書が禁忌とされる近未来が舞台となった
レイ・ブラッドベリの同名小説の映画化。
ただし、
どこでどうジェーン・オースティンの小説が扱われるか、
言ってしまうとネタバレになるので、
控えさせていただきます……が、
くすっとさせられる扱い方ではありました。
ちなみに、「華氏451(度)」とは、
書物が燃える温度のことです。


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