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2003年02月03日(月) パッチ・アダムス

パッチ・アダムス Patch Adams
1998年アメリカ トム・シャドヤック監督


実はこの映画を初めて見たとき、
自分的なキーワードはバナナの皮でした。
それについて説明すると長くなるので、恐れ入りますが
こちらをごらんくださいませ。
決して好評価ではなかったのです。

けれども、再び見てみて、僻目で見ていた自分を恥じました。
何だ〜、そりゃやっぱり「あ〜あ」な部分はあるけれど、
いい映画じゃないですか、と。
来日講演の経験もある実在の医師の物語です。

1969年、精神を病んだ青年ハンター・アダムス
ロビン・ウィリアムズ)は、
みずから志望して精神病院に入院しますが、
そこで彼を治癒してくれたのは、医師ではなく患者仲間たちでした。
彼自身もまた、人を笑わせることに喜びと手応えを見出し、
退院後、医学部に入学します。
「笑いの効用」をぜひ医学の世界に!というわけです。
そして“パッチ(手当て)・アダムス”と自称し始めました。

大分とうの立った新入生ではありました。
その上、成績は常にトップクラスで、
でもいつもふざけているようにしか見えないパッチは、
「人間ではなく医者になれ」などと、
ある種マッド・サイエンティストじみたことを言う、
やたら権威主義の学部長ウォルコット
ボッブ・ガントン)に目の敵にされ、
ルームメイトで一族郎党医者だというミッチ
フィリップ・シーモア・ホフマン)にも
妬みも込めて敵視されます。

気のいいトゥルーマン(ダニエル・ロンドン)は、
パッチのよき理解者でした。
格式張った医療制度と病院のやり方から
こぼれ落ちている患者たちを救うために、
無料の治療院をつくったパッチに、最も協力しました。
また、その美しさゆえ、少女時代から
男性から性の対象と見られがちなことがトラウマになっていた
カリン(モニカ・ポッター)は、
軽薄に近づいてくるパッチを警戒しますが、
だんだんと、心を開くようになります。
彼女もまた治療院の協力者の1人でしたが、
そのため、思わぬ悲劇に巻き込まれてしまいました……

1人1人、キャストに説得力がありました。
ボッブ・ガントンは、『ショーシャンクの空に』と
キャラかぶるような“やなおっさん”でしたし、
「おでぶのいい奴」役が多いフィリップ・シーモア・ホフマンは、
この映画では、最初はあくまでも嫌みに、
後にパッチに敬意を示し、同調することになる役を
無理なく演じていました。
親友トゥルーマン役のダニエル・ロンドンは、
「あれ、この人って、『ナーズの復讐』出てなかった?」
というようなルックスなのですが、
Revenge of the Nerds 1984年の作品ですが、
実際には出ていません。
ちなみにナーズとは、コンピューターにかじりついているもやしっ子、
転じて“オタク”

なかなか芯の強いところも見せてくれるし、
何より、カリンを演じたモニカ・ポッター!
あの、少女っぽさが残るあえかな美貌は、
「私、子供の頃から男性に興味を持たれやすかったの」
と苦悩ぎみに告白しても、
「そうでしょうねえ…」としみじみ受け入れられます。

病気に対する笑いの効用は、
今や「思いッきりテレビ」も大注目(多分)の新常識ですが、
あそこまで体を張ってやってくれる医者がいても悪くないかな、
再び見たら、それくらいの気持ちにはなれました。

ただ、映画の中で繰り広げられるギャグの数々に関しては、
「治癒」に役立つかどうか、その辺は各人次第だと思います。


ユリノキマリ |MAILHomePage