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2002年11月22日(金) |
刑事ジョン・ブック/目撃者 |
11月22日は、1987年に制定されたボタンの日だそうです。 ボタンは、洋服に欠かせない「部品」の1つのように思えますが、 装飾品でもあるんですよね。 中には陶磁器などでできたアンティークものもあり、 外国ではコレクションアイテムとしても一般的だと聞きます。
では本日は、そのボタンすら装飾品の1つであるとして 拒否している人々が登場する、次の作品を。
刑事ジョン・ブック/目撃者 Witness 1986年アメリカ ピーター・ウィアー監督
16世紀頃スイスで起こったアマン派を起源とした キリスト教の一派の信仰者で、 質素な生活と完全な平和主義を旨とする 【アーミッシュ】と呼ばれる人々が、 アメリカでは、現在も10万人ほどいると思われるそうです。 日本にいて、このアーミッシュを知ったきっかけといえば、 本日御紹介するこの作品か、 クッキーでおなじみの「ステラおばさん」絡みということが 多いのではないでしょうか。
マジメなマジメな監督が、マジメな人々のマジメな生活を 丹念に描いた傑作でした。
アーミッシュとして質素な生活を送る 未亡人のレイチェル(ケリー・マッギリス)は、 6歳の息子サミュエル(ルーカス・ハース)を連れて 姉のもとを訪れますが、その途中サミュエルが、 フィラデルフィア駅のトイレで殺人現場を目撃してしまいます。
この小さな目撃者の証言から、 担当の刑事ジョン・ブック(ハリソン・フォード)は、 警察の上層部が事件に関わっていると察知します。 そのせいで犯人に襲われたジョンは、この母子の身も案じて、 フィラデルフィアからそう遠くないアーミッシュの村で、 彼らを守るために生活を共にすることになります。 最初はただただ「守る」というだけの気持ちだったジョンは、 次第にレイチェルと心を通わせるようになりますが、 それは決して歓迎されないであろう恋愛感情でした。
ボタンもない服を着、特徴ある帽子をかぶった レイチェルとサミュエルの母子は、 大都会のフィラデルフィアではかなり浮いた存在で、 ぶしつけな好奇の視線にさらされますが、 アーミッシュの村に行けば、 ボタンのついた伊達なスーツ姿のジョンの方が異分子でした。
タイトル(原題も邦題も)だけ見るとサスペンスそのものですが、 この映画を貫いているものは、 何より異文化への理解のようなものでした。 といっても、多分丁寧な取材をし、 アーミッシュの人々におもねるわけでも、歪めるわけでもなく、 かなり忠実に描き出そうとした結果だと思いますが、 文化文明にそれなりに甘やかされた人間としては、 人々の、厳格に戒律を守るがゆえの偏狭さもやや気になりました。 (って、それこそこの辺は、映画的演出ってやつでしょうが) どうしても分かり合えない面があるということを悟るのもまた 「理解」というものなのかなぁと考えさせられます。
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