Dailymovie
DiaryINDEX|past|will
1957年12月13日、俳優のスティーブ・ブシェミが生まれました。 1度見たら忘れられない顔の彼は、意外と出演作の多い人ですが、 日本では劇場未公開の作品で、次のようなものがありました。
28DAYS(原題同じ) 2000年アメリカ ベティ・トーマス監督
サンドラ・ブロックがアルコール依存症という設定で、 酒のせいで姉の結婚式に遅刻した上、大失態を演じたので、 28日間、更生施設で過ごすことになるというお話です。
あのサンドラがですよ。 どちらかといえば、中毒でへろへろになっている男を張り倒し、 カツを入れる方がよほど似合いそうなサンドラが、です。
最近はちょっと方向性の違う使われ方をしている気もしますが、 アダルド・チルドレンという言葉は、 そもそもが、アルコール依存症の親と接し、 トラウマを抱えたまま大きくなった子供、というようなニュアンスで、 略称ACのAは、アルコールにも通じる……というような話を、 以前何かで読んだことがあります。 とすれば、この映画の中のサンドラ扮するグエンは、 まさにACでした。 更生施設でのリハビリ中も、 酔いつぶれた母親、それを見る幼かった自分と姉という図式が、 何度も頭に浮かんできてしました。
グエンは協調性ゼロで、最初は施設の鼻摘みものでした。 が、あるトラブルを理由に刑務所送りをほのめかされたことと、 リハビリ仲間から責めたてられ、自分の弱さをさらけ出したことで、 だんだんプログラムにもまじめに取り組むようになり、 施設の人間関係にも溶け込んでゆきます。 でも、そもそもサンドラが出ている映画を 今まで好印象をもって見てきた人にとっては、 「ちょっとわがままだけど、なんか憎めない」 とさえ思わせてしまうのが、彼女の大きな特徴だと思いました。
ところでブシェミですが、なんと更生施設の医師役でした。 彼が出演しているほかの作品を見た人なら、 彼がこの映画に出演していると知ったら、 絶対、患者の方の役だと思い込むでしょう。私もそうでした。 大体、初登場のシーンからしてイカニモ、なんですもん。 (そりゃ、アル中・ヤク中の医者もいるでしょうけど。 実際彼も、立ち直り組の1人という設定でもありました)
ヤク中の野球選手役にビィゴ・モーテンセン。 弱い自分と戦いつつ、グエンに大いに示唆を与える役でした。
『ショーシャンクの空に』で、50年刑務所にお務めした老人が、 出所が決まったら怯えて騒ぎを起こすという場面がありましたが、 この更生施設でも、一見和やかそうに見えて、 卒業は怖いもののようです。 酒も薬も携帯電話も取り上げられ、 清らかで静かな生活を余儀なくされる施設にいる間はいいけれど、 出たらまた飲んでしまうのでは?手を出してしまうのでは? というおそれがつきまとうのでしょう。 グエンは何とか乗り切れるんじゃないかな、と、 エンディングに入る前の園芸店のシーンを見て思いました。 なかなか心温まるシーンです。 このシーンが最もサンドラ・ブロックらしい顔でした。
|