Dailymovie
DiaryINDEXpastwill


2001年11月20日(火) ホテル・ニューハンプシャー

本日11月20日はホテルの日だそうです。
1890年に帝国ホテルが開業したことに因むそうですが、
本日御紹介する映画に出てくるホテルは、
帝国ホテルというよりは、
清里あたりのペンションを彷彿とさせます。

ホテル・ニューハンプシャー
The Hotel New Hampshire

1984年アメリカ トニー・リチャードスン監督


意図したわけではないのですが、
昨日タイトルを挙げたばかりの映画を、
早速取り上げさせていただきます。

アメリカで最も成功している作家ジョン・アーヴィングの原作を、
おとぎ話感たっぷりに映画化したのがこの作品です。
ジョディー・フォスター、ロブ・ロウ、ナスターシャ・キンスキーなど、
当時の若手の渋いところを起用し、
何があっても「開いた窓から飛びたりしない勇気」を、
さりげなく与えてくれました。

ついでながら、この映画に出ていた頃のセス・グリーンは、
本当にかわいかったなーっ。
かわいくて達者な子役が中途半端に年食うと、
なぜ“あんなに”なってしまうのか…という例の1つです。
(『オースティン・パワーズ』のイーブルのドラ息子役)

軸となるベリー家は、若い頃にホテルのアルバイトで知り合った両親、
レスリングのコーチでもあるおじいちゃん、5人の子供、
胃腸が弱くおならばかりしている犬ソローの大所帯で、
廃校になった母の母校を買い取って改造し、
「ホテル・ニューハンプシャー」を始めます。
その5人の子供の2番目で長女がジョディー・フォスター、
すぐ下の弟がロブ・ロウでした。
2人は非常にうまが合い、姉弟としては問題があるかもと思うほど
仲のよい間柄です。

ホテルには変わった客が多く、
子供たちは『会議は踊る』のワンシーンのように、
部屋の盗聴を楽しんだりします。

が、祖父の(気の毒な)死後、
両親のキューピッドでもあった熊使いのフロイトの誘いで
一家はウィーンに移住することになるのですが、
後から来るはずだった母親と末っ子(セス・グリーン)は、
飛行機事故で亡くなってしまいました。

残った家族は、フロイトのもとに身を寄せ、
そこで「サラ・ベアー」と名乗る、
熊のぬいぐるみをかぶりっ放しの女性と出会います。
自分の姿が醜いと思い込んでの「奇行」ですが、
それをあの美女ナスターシャ・キンスキーが演じていました。

枚挙にいとまがないほどの「よくないこと」が次々と起こり、
つくり方次第では、幾らでも暗くて悲惨になりそうですが、
不思議なほどにさわやかな感動やおかしさに満ちていました。
そういう意味で、ジョン・アーヴィング作品の中でも、
最も原作に忠実に映画化されたと言えるかもしれません。
映画を見た後原作を読んでも、原作を読んでから映画を見ても、
さしてがっかりしない、珍しい作品でもあります。


ユリノキマリ |MAILHomePage