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1938年11月13日、女優のジーン・セバーグが生まれました。 1979年8月、謎の多い死を遂げますが、 今でも、彼女の存在感そのものに対するファンの多い人です。 あの、頭の格好と髪質を選ぶ(だからフツーの人はマネできない)、 そっけないほど清潔なショートヘア「セシールカット」の語源となった、 彼女の出演作を御紹介しましょう。
悲しみよこんにちは Bonjour Tristesse 1957年アメリカ=イギリス オットー・プレミンジャー監督
フランソワーズ・サガンがものした同名の原作も有名なせいか、 フランス映画だと思い込んでいましたが、違いました。 確かに全編にわたって英語でしたね…。 舞台は南フランスのリゾート地セントトラペッツです。
結構ありふれた素材を、 いかにおいしそうに料理するかに腐心した… という言い方もできるんですよね、今見ると。 でも、十代の美しさとあどけなさが危険な少女の悲しみを、 そういう点が非常に繊細に表現していて、心に残ります。
金持ちで、魅力的で、屈託のない少女セシールは、 事業家の父親とは大の仲良しで、 毎夏南仏に一緒にバカンスに出かけていました。 自分に興味を示す男の子との軽い恋愛も楽しむし、 父親の若い恋人とも友人のような間柄ですが、 ある夏に起こった事故がきっかけで、 非常に空虚な気持ちのまま、「いま」を過ごしています。 その、「いま」のシーンをモノクロ、 思い出を回想するシーンが鮮やかなカラーという方法で 表現してありますが、例えれば薄皮饅頭のようなもので、 「思い出」の餡を、「いま」の薄い皮でくるむようなつくりになっています。
「金持ちで、魅力的で、屈託のない」 こういうのを、本当にいい御身分というのでしょうね。 十代の娘が、お酒飲み過ぎて、宿酔い対策にアイスクリームを食べ、 周りからからかわれたりしていました。 で、またそれが絵になる! 私事ですが、職場の先輩たちと飲み過ぎた翌日の朝、 これをマネしたことがありますが、 全く絵になっていなかったと自分でわかります。
みんなが少しずつわがままだったばかりに起きてしまった悲劇に、 セシールは胸を痛め、 もう戻らない「色のついた日々」に思いを馳せるのでした。 老若男女問わず、セシールの視点でこの映画を見ることができたら、 必ずや、最後のシーンで彼女とともに涙を落とすことになりましょう。
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