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2001年09月13日(木) 青春デンデケデケデケ

1954年9月13日、
作家の芦原すなおさんが生まれました。
私が最も尊敬する小説家の1人です。
氏の直木賞受賞作は、大林監督の手によって映画化されました。
原作も映画も大好きなので、ノリノリで書いてしまいそうです。

青春デンデケデケデケ
The Rocking Horsemen

1992年日本 大林宣彦監督

1960年代後半の、香川県観音寺市が舞台ですから、
それが芦原さんの青春そのものなのでしょう。
それでいて、思い入れだけに流されることも、
説教くさくなることも、やたらとじめっとすることもなく、
ほのぼのとした流れの、とても感じのいい映画です。

主人公“ちっくん”は、ベンチャーズに出会う以前は、
ヴァイオリンを習っているような少年でした。
ところが、雷(いかずち)に打たれるように、
「デンデケデケデケ~」という衝撃を受け、
すっかりロックにはまってしまい、
ギターのうまい魚屋の息子・白井、
何かと高校生離れしたお寺の息子・富士男、
ブラスバンド部での大太鼓担当を夢見ていたところを
説得して入れた岡下と、
“ロッキング・ホースメン”というバンドを結成します。

この4人が通う学校や、楽器を買うためにバイトをする様子なども
うまく取り入れられ、練習や演奏のシーンも充実していて、
飽きさせない構成になっています。

また、時々“ちっくん”が抱く妄想(というほどでもないけれど)も、
具体的に映像化されていたりして、不思議な味わいも。

わざと下手に見えるように撮ったであろうカメラワークも、
慣れるまでちょっと時間を要する(5~10分?)かもしれませんが、
それすら魅力ではあります。
高校生の自主製作映画にしては、
脚本がしっかりしているなあ…なんて錯覚をしてしまうかも。
(けなしているようにしか響かないだろうことが、本当に残念です)

キャストもさりげな~く豪華です。
ちっくん役が、林泰文。名前でピンと来なくても、
顔でお判りになるかもしれないタイプの人です。
白井が、あのアサタダこと浅野忠信でしたが、
積極的な女子に言い寄られ、「まいったな~」と苦り切る純情さで、
最近の映画やCMとは違った魅力が見られます。
あとは、大林映画の常連といいたいような役者さん、
ベンガル、岸部一徳、根岸季枝、尾美としのりet cetera、
そういえば92年といえば、
テレビドラマ『ずっとあなたが好きだった』が
放送された年でもありますが、
“冬彦さん”で妙な人気が出てしまった佐野史郎も、
この映画に出ています(そんなに大きな役ではありませんでしたが)。

①字幕読むのはタルいけど、吹替えは嫌い
②たまには日本映画もいいなあと思う
③心臓に悪いアクションが出てこないのがいいなあ
④笑えるセリフが満載だけれど、さりげない映画が見たい

↑こんなときに、ぜひどうぞ。
お国言葉はきついけれど、ベースは日本語ですし、
理解できないほどではないと思います。
(少なくとも、ディープな南九州弁、北東北弁よりは…)


ユリノキマリ |MAILHomePage