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2001年05月15日(火) |
ブロードウェイと銃弾 |
1951年5月15日生まれの チャズ・パルミンテリーがギャング役(小物)で出演し、 アカデミー助演男優賞にノミネートされた、 この映画を御紹介します。
ブロードウェイと銃弾 Bullets Over Broadway 1994年アメリカ ウディ・アレン監督
1920年代のブロードウェイ。 主人公は、舞台脚本家デヴィッドですが、 この役を、アレン作品「霧と影」に続いての出演となった ジョン・キューザックが演じていました。 デヴィッドは、 才能の行き詰まりを感じているところにもってきて、 新作の舞台に、ギャングの情婦(ジェニファー・ティリー)を 女優として出演させるように押しつけられ、 演技はできないわ、台詞に文句垂れるわの彼女が、 新たな悩みの種になりました。 その情婦の用心棒としてやってきたのは、 粗野で無教養な男チーチ(チャズ・パルミンテリー)ですが、 彼が舞台の稽古を見ながら、ほんの思いつきで発する プロットや台詞のアイデアは、なかなか着眼が鋭く、 デヴィッドがそれに従うと、 舞台は目に見えてよくなっていきます、 ……と言いたいところですが、 自分のアイデアが取り入れられ、 だんだんよくなっていく脚本にその気になったチーチは、 「よりよくするためにはあの女が邪魔だ」と 言い出します。 ギャングの男が「邪魔だ」と発言するということは、 次の展開は……ですね。 さて、チーチがとった手段は? そして、チーチを当てにするようになってしまったデヴィッドの、 脚本家としてのプライドは?
このストーリーの流れの中でも、 サービス精神旺盛なアレンは、 20年代の空気を観客に伝えんとすることに 余念がありません。 だから、ちょい昔のコスプレ映画好きにもお勧めです。
言葉遣いは乱暴だし、繊細さのかけらもないような チーチを演じたチャズ・パルミンテリーですが、 実際は、ロバート・デ・ニーロが初監督した映画 『プロンクス物語』(93)の脚本を書き、出演もするという、 本当にこっちの方の才能にも恵まれた人のようです。
物を書くという行為は、 言葉を何らかの方法で操れる人ならば、 誰にでもできます。 (自分で書くのが億劫だ、 何らかの事情で書けないという方は、 口述テープを私のところへお送りいただければ、 幾らでも反訳して差し上げます〈有料〉) が、舞台劇として魅力のあるもの、 どこか説得力のあるものとなると、 そつなく書くだけでは芸がないし、 トレーニングや慣れではカバーできない ひらめきというか、 天賦の才能の領域に行ってしまうこともあり、 物書きになろうと志した人間が、 自分にそれがないと自覚してしまうのは、 何より恐ろしいことでしょう。 デヴィッドの場合はどうだったか? そこのところがちょっとほろ苦味ですが、 おおむね小粋で楽しめるコメディーでした。
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