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2001年04月20日(金) 『ライフ・イズ・ビューティフル』

さて、今日の映画は、悩んだ末、
「ヒトラーの影が見える映画」にしました。
1889年4月20日、ヒトラーの誕生日だそうです。

もしも歴史を変えることができるなら、
ヒトラーが受験した画学校の試験官になって、
「君には才能がある」と受け入れ、
立派な画家として成功させてやりたい……
と言った少女がいました。
といっても、アンネ・フランクではありません。
私が個人的によく知っている子です。
「画家になれたら、ヒトラーはあんなことしなかったでしょう」
というのが彼女の意見です。
大体、戦争ってやつは、世界中の空気を悪くするものだし、
ヒトラーがいなくても、他の人間がもっとえげつないことを
していたかもしれませんが、
そんな「仮説」を立てたくなるほど、
あのチョビひげのチビおやじの影響力は強いというわけです。


ライフ・イズ・ビューティフル La Vita è bella
1999年イタリア ロベルト・ベニーニ監督

ロベルト・ベニーニ【ライフ・イズ・ビューティフル】角川文庫

事前知識ほとんどなしで見るに限る……の
典型と言いたい作品だった気がします。
私はこれを見るたび、泣き始める時間が早くなるのですが、
(次に何が起こるかわかってしまうので、逆に涙腺が緩みます)
「世界中で絶賛の嵐!」「今世紀最高の感動作!」
といった評判を聞いた後だと、
ハスに構えてしまい、素直に感動できないか、
期待のし過ぎがアダになるかの
どちらかという可能性が高いと思います。

思えば、映画の舞台になっているこの当時のイタリアは、
ドイツと同盟国だったのですね。そして、日本も……。

収容所を舞台にしつつ、R.ベニーニのあのはじけ方は何なんだ!とか、
ナチスの犠牲になった人々を冒涜する気か!等々の批判も、
ないわけではなかったようですが、
ビクトール・エミル・フランクルの「夜と霧」を読んだ後、
多くの人が感じたであろう(と思いたい)、
不思議なほどのさわやかさ、
すごいモノをくぐり抜けて来た人々の強靱さ、
観察者としての驚くべき超然たる証言、に類するものが、
この映画にはあったと思います。

ほかにも、
*最後の子供の台詞がふるっている
『戦場の小さな天使たち』
*どうも評価のされ方がホラーじみていた気がする
『ブリキの太鼓』
*「あのシーン」を入れたウディの洒落っ気に拍手!な
『カメレオンマン』などを思い出しました。
不親切な、解説とも言えない解説ですけど、
いずれもまず見ていただきたい作品ばかりです。
(特に「カメレオンマン」)


ユリノキマリ |MAILHomePage