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2001年04月15日(日) 菊次郎の夏

長女がサッカースポーツ少年団に入りました。
結団式が昨日の午前中にあり、午後から早速
3時間ほど練習に参加してきたのですが、
「結構楽しかった」そうです。
が、月3000円を4期に分けて(つまり9000円ずつ)
払い込むための諸経費の袋を受け取ったとき、
正直、「さっさとバテて音をあげないかな…」と、
ちらりと思ってしまいました。
公立の小学校なので、
過激に金がかかるとは思っていませんでしたが、
「3000円×3カ月」と、
事も無げに予告なく言い渡してくる神経が、
ちょっと許せない気がしました。
保険料、入団料などで、既に4000円払ってあります。
よくよく考えると、やたら高い方が、
「こんなに払えません」という理由で
入団を取り消せるのに、この中途半端な負担感ときたら…

お金のことばっかり書いちゃいましたが、
もう1つ気になるのは、このクラブに入ったおかげで、
「長女との週末」がなくなったことです。
練習は、御丁寧に土日の午後行われるからです。

今はどうしても、小さな次女に合わせた生活をしていますが、
私と長女は、以前はよく一緒に映画に行きました。
子供向きの作品のみならず、大人向きの映画の試写会などにも、
しょっちゅうつき合ってくれました。
大抵は居眠り&中座の王者ですが、
「ムトゥ 踊るマハラジャ」のような長尺ものでも、
気に入れば、喜んで見ていたものです。
次女がもっと大きくなり、今よりも身動きがとれるようになっても、
今度は長女が自分の予定で手いっぱいになることでしょう。
彼女が好きで始めたことを応援したいと思う反面、
手前勝手な寂しさと、懐の痛みを感じる春であります。

2年前、まだ小3だった彼女を連れて見にいった映画には、
実にかわいらしく印象的な、天使のマスコットが出てきました。
それをつくったゲージツ家篠原勝之さんは、
今日4月15で59歳になるそうです。

菊次郎の夏 Kikujiro
1999年日本 北野武監督


正直申し上げて、この映画が大好きというわけではありません。
たまたまほぼ同時期に、非常によく似たシチュエーションの
ブラジル映画「セントラル・ステーション」を見ていて、
こちらの映画が非常にツボにはまった感じがあったので、
「菊次郎…」の方は、映像表現はきれいだけど、
プロットはベタベタだなあ、などと、
ナマイキな感想を持ったほどです。
けれど、ビートたけし(役者名はこちらでした)と
旅をする正男少年(関口雄介君)が、
おせじにも美少年とは言えない顔で、
静かに静かに泣くシーンなどは、
今思い出してもぐっと来るものがあります。

前述の「天使のマスコット」は、
映画に登場するバイクツーリストの2人組、
グレート義太夫と井手らっきょ(のどちらか)が、
「彼女にもらった」んだと言って、
お守りがわりにバイクに提げていたものでした。
繊細なガラス細工でしたが、
「ああいうの欲しいなあ」とぼんやり見ていたら、
後日、そう思った観客が多かったのか、
限定数をインターネットで販売するという
ニュースを見た覚えがあります。
が、サッカークラブの払い込み金9000円にガタガタ言う私が、
5けたプライスの品物にほいほい金を出すわけもなく、
その天使は、私の手元にはなく、頭の中だけの思い出となりました。

また、この映画には、もう1つ思い出があります。
かなり終盤の海岸のシーンで、小さな黒い影が見ました。
どうやら、蝶や蛾のような羽の昆虫が飛んでいるシーンのです。
すごいなあ、あんなあざやかな影、よく撮ったなあと思っていたら、
実は、映写機の前をひらひらと飛んでいた蛾が、
影絵の要領で、北野映画への無断出演をしていたのだとわかりました。
平生昆虫が好きな長女はすぐに反応し、
暗闇の中でニヤニヤと私の方を見ました。
映画の上映が終わり、帰りのバスの中で最も盛り上がった話題は、
蛾の影絵のことでした。

実は、この映画を見て思ったことは、
「私、北野映画はここどまりかな」ということでした。
ほかの作品は、レンタル店でもどうも手が伸びなかったのですが、
いよいよ手が伸びなくなるような予感が、残念ながらありました。
優れた監督だということと、好きになれる監督だということは、
悲しいかな、違うんですよね。


ユリノキマリ |MAILHomePage