ぼやっきー復刻版
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2002年04月10日(水) あれから7年。

中3の春、高校入試のために塾に通っていた。
とはいっても、ほとんど遊びに行っていたような気がする。

私は、あるチューターがとても気に入っていた。
恋、までには至らなかったが、
キャアキャアいって楽しむには十分な人材だった。
その人は、7つも年下の私に対して、
対等とはいかないまでも、常に正面から接してくれた。

その人は、二浪してある大学の法学部に入ったが
それでも満足出来なかったらしく、
その塾でチューターをしつつ、大学に通いつつ、
仮面浪人をしていた。

私はその人によく手紙を書いた。
今考えると幼かった内容の悩み事に
その人は自分の経験談を交えながら
一生懸命(?)答えてくれた。
本の好きな人で、私の誕生日には
2冊の小説を送ってくれた。
太宰治の「パンドラの箱」と
ゴールズワージーの「林檎の樹」だ。
両方とも、当時の私には内容が理解出来ず
読みかけで終わってしまった。

受験を目前にしたある日、
興奮した声の友達から電話がかかってきた。

「○○(私)にって、□□さん(チューター)がお守りくれたよ!!!」

二浪したお守りかよ、と苦笑しながらも
素直に嬉しかった。
受験会場には必ず持っていった。

その頃、サイン帳という物が流行っていて、
ご多分に漏れず私も周りの人たちに配っていた。
その人に書いてもらったサイン帳には

「卒業した後も覚えていてくれたら幸いです。
 でも、覚えているようじゃダメですよ」

と書かれていた。

それでも私はまだ忘れずにしっかりと覚えている。


あれから7年の歳月が流れた。

そして私は当時の彼と同い年になった。

もし私が今、中学3年の子と接する機会が出来たとしたら
彼のように正面から接する事が出来るだろうか?
この年になってみて、彼がとても大人だったという事が分かった。
多分住所は変わっていると思うし
もしかしたら結婚しているかもしれないけど
手紙を書いてみようかな、とふと思った。

今日は、彼の30回目のバースデー。


ぱるちん

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