気ままな日記
DiaryINDEXpastwill


2008年04月20日(日) ネギ1本

 先月あたりから、食材の宅配システムを利用し始めた。といっても、休日のみ。平日は母親の手料理に頼っている。
 もともとわたしは、食い意地は張っているものの、横着者である。メニューをたてて食材を買いに行き、そして作る、という手順が、例え週末の2日間とはいえ、とても億劫になり始めたのである。先日、共働き生活20年になろうとしている友人が、「錠剤一粒で、夕食がまかなえればいいのに」と溜息をついていたが、さもありなんと思う。と言っても、私の場合週末だけなので、気持ちがわかるなどと言ってしまうのも、僭越な気もするが。
 さてこの宅配システム。金曜日の夕方になると、選んだメニューに沿った食材が、息子と私きっちり2人分だけ梱包されてやってくる。
 チェリートマト、ししとうが2個ずつ、小ぶりなじゃがいも1個、ナス1個、それらが、発泡スチロールの皿にころんと乗っかってやってくる。

 小学生の時、母親にネギを買ってくるように頼まれた。
「ネギ1本ください」
八百屋の店先でそう注文したわたしを見て、店のおばさんは「1本??」と少し驚いた声をあげ、「いいよ、あげるから」と言ってお金もとらずにただでくれた。帰ってから母に報告したら、「まあ、いやだ。1本だなんていうからじゃないの」と笑われた。
 なぜ八百屋のおばさんが驚き、母親が笑ったのか、その時はわからなかったが、ネギなら、何本かずつ束ねて売られているのが一般的で、そうでないものでも、例えば、店先でおまんじゅう一個とか、ハム一枚とか、そういう買い方をするのは恥ずかしいことなのだということを、長じてから知った。バラ売りではあっても、ある程度まとまった数を買うのが一般的らしいということを。
 時代は移り、近頃では、コンビニではもちろん、スーパーでも、玉ねぎピーマンの類も、ひとつから売られるようになった。
 家族の人数が減り、単身世帯も増えているので、このように1個単位で売り買いすることは、全く不思議なことではなくなったのだ。しかし、1個2個買うことへの引け目は、気持の奥底にインプットされているようで、きっちり人数分だけ具材の盛られた器を見ると、「これっぽっちのために手間暇かけてスマヌ」というような気分になるのである。


TOMATO |HomePage

My追加