a・phá・si・ac ...かな

 

 

仲直りしよう - 2002年03月07日(木)

K事業部解散したらしいで

と1年ほど前にあたしが在籍していた部署の噂を聞いた

おまえ潰したんちゃうやろな



と笑いながら言われた瞬間 そいつの顔をぐーで殴ってた

殴られた男は呆然として床に椅子ごと倒れた
回りにいた知人たちは慌てて間に入った

あー ごめん 気分悪い 場壊して申し訳ないけど帰るわ


その部署はあまり良い想い出が無かった
中途の契約で入ったあたしは 
あたしを認めて拾ってくれた上司に
少しでも応えようと必死だった

時代の流れとしてITバブルの真っ只中
黙っていても功績は伸びる業界 そして時代
でも このままいけば バブルがはじけたとき
目が当てられないのは必至だった

上司は 良い人だけれども 人が良すぎて 
長いスパンで物事を考えられない人だったので 
それを補えればと企画をいくつも挙げた

でも それは全て 先輩面した男性社員に握りつぶされた
いや 握りつぶされた方が良かった
彼の名前で上がった企画書をあたしは何度破いたことか
それでも その企画が通ったことで何か良いものが
残れば少しは救われるかもね と 
事情を見てくれていた人たちには力なく 笑っていた

また別の先輩は おまえみたいな後輩を
手元においたあいつの運のよさだと
慰めてるのか突き放しているのか
わからない言葉をくれた

上司に直談判しても そういうことは
まずH君に相談して と出張の多い
彼は申し訳無さそうにいつも答えた

彼じゃ駄目だと言っても 君も苦労すると
思うけれど根はいい奴だから一緒に頑張って
行ってくれ と上司は 自分の最大の処世術で
ある人のよさを全面に押し出して答えるばかりで

ああ なるほどね

と入社した当時 不思議だった 
部の人たちの間に漂う諦念のわけが
わかった気がした



結局 社の方針と 直属の先輩である男性社員と
そりがあわずに 契約更新の懇談の場で 
更新する気が無い事をつげで上司たちを唖然とさせた 
青い顔をして引き止める上司と目を合わせることなく
差し出されたいくつかの好条件も 書類を読みもせずに断った

理由を聞かれ 居場所間違えたみたいです と席をたった



苦いざりざりした後味だけが残った
巨大企業 はりぼてのような脆い組織
敗北感でもないけれど 焦燥感のようなものは残って
その後 その事業部の業績が悪くなり 
立ち上げたいくつかのあたしの企画も行き詰まって
行ったことを聞いた
当たり前だ 
あんな上っ面の企画書じゃ落としどころ
間違えるに決まってる


結局 事なかれの保守主義のもとでぬるま湯の中
仲良しごっこで 漣も立てずにやってれば
乗り越えられると思っていたのだろうか

事実 今現在自社の不動産を売りに出さなければ
やっていけないほどの業績不振に陥っている現実が 

あたしが正しかったことを証明してくれた自己満足と

そして


そして それを止められなかった 奢った罪悪感を煽る



殴った拳はじんじんして 爪がおれて掌にささって
血が出てたのは お風呂に入ろうと思ったときで 
ああ 随分な勢いで殴っちゃったなぁと
反省はしたけれど 謝るつもりは無かった

その後 そいつからは 何度も電話やメールがきたけれど
あたしは一切 無視した

知人達からは 
あいつ むちゃくちゃ反省してるからいい加減仲直りしろよ
と言われたが うるさい と取り合わなかった

見てたくせに あたしがもがいてたのを
冗談でも 言っちゃいけない一言だ



先日 転寝してたところにかかってきて 
うっかり電話を取ってしまった あたし

朦朧とした意識で耳元に聞こえたそいつの声は 泣いていた

ああ もう 何も言わなくて良いよ



ほっぺた痛かったか と問うと ああ と
短く答えるそいつに

そっか あたしの手も痛かったよ と言うと 
小さく ごめんな と呟いた


OK 仲直りしよう








-




My追加

 

 

 

 

INDEX
past  will

Mail