ひびき(日々記)
「夢を叶えて 夢になりたい」

2004年08月27日(金) Roots「順不同で振り返る音記憶達」その8

ローザルクセンブルグというバンドがあった
京大西部講堂で見た時は高校生の終わりだったと思う

正直よく分からなかった

ボーカルだったどんとさんのオーラが強烈な
恐ろしくサイケデリックなバンドで
それだけが僕の印象に残った

ローザ解散の後
どんとさんを中心に『ボガンボス』が生まれたが
当時は結成されたことさえ知らなかった

僕は大学を出て社会と音楽の間をフラフラしていた
そして音楽の内容でもフラフラしていた

ハードロックバンドを辞めて
オリジナル曲を書き始めてはいたけれど

なにかどこかで聞いたことのあるメロディ
ありもしないフィクションで塗り固めた言葉

今思えば『誰かの借り物』を切り貼りしては
自分の音だと空っぽの胸を張っていた

そんな「借り物」をもとに組んだバンドは
社会人寄せ集めのためにメンツは固まらず
スタジオ練習ではいつも誰かが欠けていて
いつになってもライブの目処が立たない

しかし若さにアグラをかいていた僕は
日々のジレンマと疑問から目をそらしながら
とりあえずなんとかなるさとタカをくくって腹はくくらず
ダラダラしたまま音楽と付き合っていた

そんな日常の中で僕に彼女が出来た

音楽がらみで知り合った彼女は
ある日僕をライブに誘ってくれた

ボガンボスだった

僕「何このバンド?」
彼女「昔ローザルクセンブルグやったはった…」
僕「・・・ !!どんとさんのバンドか!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

流されて流されて
何処へ行くやら

繰り返す繰り返す
イイ事もヤな事も

淋しいよって泣いてても
何も元にはもう もどらない
欲しいものはいつでも
遠い雲の上

明日もどこか祭りを探して
この世の向こうへ連れていっておくれ

夢の中
雲の上

※ボガンボス「夢の中」より
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一曲一曲が
僕に打ち下ろされるハンマーだった

借り物で塗り固めたダムが壊されて
たまっていた汚水が一気に流れ出た

「ありのままを書いたらええんやんけ…」

この日を境に
僕の作る曲は怖いくらいに形を変え始めた

今までに作った曲は歌えなくなった
いや歌いたくもなかった
自分にとってのウソを並べた曲はすべて捨てた

そして今その延長線上で
僕は誰のものでもない僕の肌をさらしている

あの時
彼女がボガンボスに連れていかなかったら
今の僕はどう考えても存在し得ない
相変わらずウソを切り貼りした曲を
腹もくくれずいい加減に続けていたかもしれない

いやもしかしたら
音楽なんてやっていなかったかもしれない

そんな彼女は今も僕の大切なパートナーだ
数年前どんとさんの訃報を耳にした時は
二人してかなり落ち込んだ

今も僕の部屋には
ボガンボスの販促用ディスプレイが飾ってある
(非売品:当時彼女がバージンメガストアで働いていて手に入れた)


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