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2007年07月02日(月) 「ゾディアック」

※ネタバレしてます。



想像してた映画とだいぶ違ったなー。連続殺人犯の話だと聞いていたのでもっとこう「セブン」みたいなのを予想してたんですが、ああいうふうに事件そのものを衝撃的に描く内容ではなかったです。むしろサスペンスですらない…と言ったら語弊があるか。つまりなんというか、サスペンス性よりも人間ドラマの色が強い印象でした。
60年代後半にアメリカで実際に起こったゾディアック事件、それを追う側の人々がメインに描かれる。生活を犠牲にしてゾディアックを追う刑事たち、ゾディアックから犯行声明が送られてきた新聞社の記者と漫画家。ジェイク・ギレンホール演じるこの漫画家が原作者でもあり主人公なんだけど、彼は担当外であるにもかかわらず最初の暗号が送られてきた時からこの事件に興味を持ち、やがて仕事も投げ出して家庭も顧みず取り憑かれたようにゾディアックに没頭してゆく。

手応えはあるのにどうしても立証できない。そのもどかしさがすごく良く伝わってきます。警察の捜査や主人公の独自調査は何年にも及び、かなり核心に近づいた!と思われるところまで行くんだけど、そのたびに推論は覆され真実はまた遠のく。なにしろ昔のことなので科学的な捜査技術が今ほど進んでなかったり、(殺人現場の)所轄の違いで捜査がスムーズにいかなかったり。そんなところも未解決という結果に繋がっているのかもしれません。これもしも21世紀に起きていた事件なら早期解決もあったんじゃないかな。
結局犯人は捕まらない。ただ、終盤で主人公が容疑者の居場所に出向いていってじっと目を見るシーン、あれで物語的には一応完結の形をとっているような気がします。途中主人公が妻に去られる際、「あなたはそんなにこの事件に夢中になって、一体どうしたいの?何がしたいの?!」と問いつめられて、「ただ知りたい。そいつの目をのぞき込んで、“ああ、こいつが犯人だ”と納得したい」というようなことを答えてる。ラストで彼は、それをそのまま実行しているわけです。

映像が徹底的に60〜70年代ですごく雰囲気ありました。あと、いくら人間ドラマ的といえども殺人シーンの緊迫感などはさすがデヴィッド・フィンチャー、反射的に目をそらしたくなる感じです。それから殺人シーンではないけども、一番ハラハラしたのは地下室の場面。あの心理的に追いつめられるドキドキ感…見てるこっちが走って逃げ出したくなりましたよ(笑)。
途中タクシーを追う俯瞰映像でカメラが直角に曲がるのもすごかった。それとオープニングの、暗号が入ってる封筒がいろんな人の手を通って新聞社の中まで配達される様を延々ずーーーっと追い続ける映像、あれなんかもフィンチャーらしいと思います。
そういえば音楽も良かった!ちょっとレトロモダンな感じで。挿入されるタイミングとか、使われ方もオシャレ。

ジェイク・ギレンホールはこういう役似合うなー。地味で平凡なんだけどちょっとマニアック、みたいな。あと私ロバート・ダウニー・Jr.が好きなのでいっぱい出てきてくれて嬉しかったです(微妙に私生活とシンクロしてしまう役柄でしたが…)。個人的にこの人は若い頃より今のルックスの方が好みかも。




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ゾディアック
【ZODIAC】

2006年 アメリカ / 日本公開 2007年
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、
ロバート・ダウニー・Jr、アンソニー・エドワーズ、クロエ・セヴィニー
(劇場鑑賞)



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