INDEX|←back|next→
2003年10月08日(水) |
永遠のマリア・カラス |
これはちょっと評価に困る映画だったなあ。いや、嫌いではないです。けど、観賞後の後味がね、何というか、映画を観たというよりも、まるでコンサートに行った後のようだった。観終わって強烈に印象に残ったのは、映画の内容じゃなくてカラスの歌なんですよ。本編中に使われていたカラスの歌声がしばらく耳に残って離れない。こういう感覚は決して嫌いではないんだけども、じゃあ映画としてストーリーはどうだったかと聞かれると、こちらは少々中途半端だったと言わざるを得ないわけです。
でも主演のファニー・アルダンはすごく良かった。パリで隠遁生活を送る晩年のカラスの元に昔なじみのプロデューサーが現れ、彼女の全盛期の頃に録音された歌声を使ってリップシンク、要するに口パクでオペラ映画を撮影する企画を持ちかけるというお話で、カラスはかつての自分の歌声に合わせて唇を動かす練習をしたりしてそれはもう入魂の演技をするわけだけど、これってつまり、この映画の中のカラスとまったく同じことをファニー・アルダンがやったということなんだよね。いや何だか当たり前のことをわざわざややこしく表現しているようで申し訳ないのですが(笑)、これがたいへん素晴らしいのですよ。カラス本人よりも本人らしい不思議なオーラが出ているというか、歌ってるシーンは迫力があって圧倒されました。それと、豪奢なシャネルを見事に着こなす貫禄もさすがだと思う。
ストーリーは一見伝記風ですが、事実ではありません。事実と創作とを融合させたフィクションだそうです。ジェレミー・アイアンズが演じたプロデューサーも、実在はしていない。ただ、カラスと親しかった監督の発案で、当時こういうような企画が実際にあったらしいです。でも実現しなかった。あの時もしも実現していたら…という監督の愛と幻想と捏造が(笑)確かに感じられました。ひしひしと。
と、そんなところでそろそろいい男の話に移らせてもらいますけど、この映画の劇中劇「カルメン」でホセ役を演じていた男前、皆さんご覧になりまして? 近頃急速にワールドワイドな規模になって参りましたわたくしの美形発掘プロジェクト(←最早開き直り)、そのイタリア人部門代表が何を隠そうこのガブリエル・ガルコ君なのでございます。「ティント・ブラス/秘蜜」で目を付けたんですけど、いやはやあの熟女泣かせ軽薄エロ中尉がこんな好青年に変身しているとは思いも寄りませんでした。でもやっぱり年上キラーなところがグーだね! いい感じよガルコ! しかも、前作軍服で今回はタイツですからね。もうコスプレ帝王に決定。そういやオーディションのシーンはアレほんとに歌ってたのかなあ。だったらちょっと尊敬だなあ。 ちなみにどんな人かというと、→こんな人です。オトナのお姉さま方向けにはこんなショットもございますが、えーと、もしもお仕事中にご覧になってる場合はなるべくウィンドウを小さくして後ろに人がいないのを確かめてからこっそり開いて下さいね。18歳以下のうら若きお嬢さん方はクリック禁止です。うふ。
****** 永遠のマリア・カラス 【CALLAS FOREVER】
2002年 イタリア・フランス・イギリス・ルーマニア・スペイン / 日本公開 2003年 監督:フランコ・ゼフィレッリ 出演:ファニー・アルダン、ジェレミー・アイアンズ、 ジョーン・プロウライト、ガブリエル・ガルコ (劇場鑑賞)
|