INDEX|←back|next→
※ 相当ネタバレな上に長文。さらにジェームズ・スペイダー話炸裂です。ご注意。
うああああもう我慢できない!
ということで昨日ついに観て参りました「セクレタリー」。現在上映されている新宿のシネマスクエアとうきゅうでは“Goodモーニング割引”なるサービスが実施されておりまして、日曜祝日の朝一上映(9:20〜)は1000円で観られるのです。ジェームズ・スペイダーのためなら苦手な早起きも苦手な新宿もへっちゃらよ!とか思いつつ起きてみたらやっぱり微妙に寝坊していて、とりあえずその辺にあるものを着て財布とメガネだけ握りしめほぼノーメークで家を飛び出すという有様でございましたが。ああ久々にスクリーンでお目にかかるというのにこんな格好でごめんねスペイダーさん…。 んで、なんとかギリギリに劇場に着いてですね、チケットを買おうとしたらアナタ、「お立ち見になりますがよろしいですか?」と。いやほんとなんですよ!信じられます?!あたしゃ耳を疑いましたよ。動揺のあまり思わず「おっ、お立ち見ですか、や、あの、「セクレタリー」ですよ?」などと逆にこっちから念押ししてしまう始末。いやあジェームズ・スペイダーのために(それは違う)休日の朝っぱらからこんなに人が集まってるかと思うとわたくし感動で胸がいっぱいに…。ていうか真面目な話、この映画ほんとに結構注目されてるのかな。だとしたら嬉しい。嬉しいよ!(結局あいてる席がちらほらあったので無事に座って鑑賞できました。)
--------------------------------------
なんかいつもにも増して前置きが長くなり申し訳ないことですが、肝心の映画の方も期待を裏切らない出来映えでした。就職経験男性経験ゼロで自傷癖のある主人公・リーが、勤務先のボス弁護士グレイの“教育”や彼との“主従関係”に快感を覚え、次第に自分を解放してゆくというストーリー。 言葉で説明するとまるっきりそっち系の話みたいなんだけど(まあ実際R指定だしそういう描写も結構あるんだけど)、実は純愛。そんな話でありながらピュアなラブストーリーに仕上がっているところがこの作品のポイントで、私はこれね、乙女好みのすごーくロマンチックな話だと思った。SMだと思うからややこしくなるんです。そこんとこを受け流せば、内気な女の子がある日相性ピッタリの男性と運命的に出会って、恋をして、一時は別の人で自分を誤魔化そうとしたりもするんだけど、でもやっぱり私は彼が好き!彼じゃなきゃダメなの!っていう話なわけで、これってほとんど王道的なラブストーリーでしょ? そして待ち受けるのは甘いハッピーエンド。二人にしかわからない、二人だけの愛の世界。
部分的にコミカルだったりとかインテリアが凝っててちょっとおとぎ話風だったりとか、色んな要素がSM的エグさをやわらげているところもgood。そして一番良かった点は、主役のリーというキャラが美しく成長してゆく姿に説得力があったこと。この辺はやはりリーを演じたマギー・ギレンホールの功績だよなあ。普通尻込みしたくなるようなシーンにも大胆に挑んでいて、各賞受賞やノミネートも納得の素晴らしい演技です。見ていて何となく共感できるというか、つい応援したくなってしまう。彼女ははじめ本当に冴えない女性なんだけど、自分の性癖を認めグレイへの想いを自覚してどんどんキレイになってゆくんです。自傷キットとも決別し、グレイへのアタックを重ね、最後は自分の気持ちに正直に行動して一歩も退かない。意地ではなく、それが彼女の愛の形なのね。ご主人様のグレイの方が煮え切らない態度で怖じ気づき、服従役の彼女に押されてこの恋が成就したというところもまた面白い。グレイがドレス姿のリーを抱きかかえる場面はちょっと感動だったなあ。きゃああああジェームズ・スペイダーが王子様のようだわ!という別の意味の感動でもありましたが(笑)。
そしてスペイダーさんハマリ役。グレイというキャラの変人ぶりに面目躍如と言いましょうか、ほんとこういう役やらせたら天下一品だよな(笑)。本作は彼のキャリアにおいて確実に代表作レベルだと思われます。たかだか単館公開で何を大げさなと言われるかもしれませんけど、もともとメジャー系の映画は似合わない人だし興行実績的なことはどうでもよくて、何て言うかなあ、今回の役どころって、まさにこういうスペイダーが見たいとファンが望んでいた(であろう)彼の姿であったという、そこが非常に嬉しいのね。昔同じ頃に活躍してたアンドリュー・マッカーシーだとかエリック・ストルツなんかがすっかりなりを潜めてしまっている昨今、こうして持ち味(と言っていいよね?)を生かした役(しかも年相応に)でスクリーンに返り咲いてくれたらやっぱり嬉しいわけですよ、ファンとして。
あと、パンフレットに載っている滝本誠氏の「ジェームズ・スペイダー論」が実に素晴らしいです。必読。彼の裸体に潜む意味性、いや、寧ろ“無意味性”であるとか、自らの美貌を踏まえた曲者演技のことなどいくつかの興味深い指摘をされていますが、個人的には最後に「水曜日に抱かれる女」を取り上げておられることに心から敬意を表したい(笑)。あの映画のスペイダーは本当に美しかったんだよな〜。…ってなんか「セクレタリー」と全然関係ない話になってきましたので語り足りないけど(足りないのか!)この辺でいい加減にやめます。えーと、「セクレタリー」公式サイトは→コチラ! 余裕があればもう一回くらい観に行きたいな。
****** セクレタリー 【SECRETARY】
2002年 アメリカ / 日本公開:2003年 監督:スティーブン・シャインバーグ 出演:マギー・ギレンホール、ジェームズ・スペイダー、 ジェレミー・デイヴィス (劇場鑑賞)
|