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2003年04月07日(月) スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする

いやはや、kaiさんがご自身の日記からリンクはって下さったここ数日というもの、カウンタがかつてない速度でぐるぐる回っているのでわたくし非常にうろたえております(笑)。kaiさんありがとうございます。R指定な「ことの終わり」での彼の(ジュリアン・ムーアじゃなくて/笑)白い肌は、嗚呼、確かに格別で御座いましたわね!思い返して一人ニヤつく生暖かい春の昼下がり、レイフ萌え絶・好・調☆

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んで、やっと観ました「スパイダー」。
っていうか昨日観てきたばかりなのにもう早速リピートしたい気分なんですけどどうしましょう! 観終わってから公式サイトのネタバレBBS見たりパンフ熟読したりネットで感想読み漁ったりしたらアナタ、再確認したい事項満載。事前の思い入れ→その1→その2→その3のせいかもしれないけど私はこういうの好きだぞクローネンバーグ〜。まあ人によって確実に好き嫌い(or合う合わない)が分かれるタイプの映画なのでみんな見てネ楽しいヨ!とか明るく言えませんが。つーかやはり興行的にはイケてないんだろうか……今週で終わっちゃうし……劇場は新宿スカラだと思って出かけたら二軒先の文化シネマ(の一番小さい部屋)に移ってたし(笑)。視聴覚教室かよ(席数56)。

※ここから下↓は何もかもネタバレです。未見の方は注意!




えーと、まず前評判の段階で耳にしてはいたんだけどやはり意外だったのが、クローネンバーグ的エログロ描写が本当に控えめだったこと。控えめも何も、ほとんどなかった。原作に出てきた鶏肉の中のネズミの死骸とかジャガイモに血が滲むとか小腸が背骨に絡みついて頭蓋骨に抜ける等々、絶対映像化してくれると思ってたのに(笑)。あ、でもウナギがどどん!と食卓に登場したシーンはちょっとクローネンバーグっぽかったかも。
一人の男の錯乱した精神状態を表現し、さらに観客をもそこへ引き込んでしまおうというのが今作でのポイントで、そのために始めから終わりまで全てをスパイダーの視点で統一してます。客観性の排除。原作においてもこの点が非常に重要だったんだけど、でも小説ならともかく、映像で主観世界を徹底させるって大変なことだと思いませんか。例えば「私は…」とナレーションで一人称語りを入れたりとか、そういうありきたりな手法を使ってるわけでもないし。
要するにこれね、この映画、謎解きがメインではないんですよ。だから単純なミステリとして受け取ってあーそういうオチかよ!簡単に読めたよ!などと指摘するのは間違ってる、…とまでは言わないけど、それじゃ面白くないじゃん。ストーリー(=コトの真相解明)よりも、スパイダーの精神世界に巻き込まれてわけのわからなさを一緒に味わわされることに興味が持てるかどうか、が、作品としての好き嫌いの分かれ目でありましょう。

現在・過去・妄想・記憶が入り乱れる構成で、kaiさんも仰ってましたが、記憶の中の、おとなスパイダーとこどもスパイダーの存在による規則性(二人同時に存在してるかしてないか)って確かに気になりますね〜。汽車で帰ってきて日記を付けながら過去を追想してる「現在の」スパイダーは一見客観的に描写されてるように見えますが、騙されてはいかん。寮母が時折イヴォンヌになったりしてたってことは、やはり「現在」もスパイダーの妄想混じりの視点で描かれてるということなんだよね。…あーもう一回色々確認したい!場面の切り替わり具合を。スパイダーの心理パターンを。


レイフ君は熱演。熱演というか、やはりチャレンジャーでありましたよ。うつろな目つきで延々ぶつぶつ独り言を言っていて…ってそういえばまともな台詞ほとんどなかったじゃん!主演なのに!(笑) でもレッド・ドラゴンのダラハイド役もそうだけど、この人の繊細な男前ぶりが役に生きてたと思うなあ。なんか同情を煽るのよ。
それにあああの入浴シーンはたたた確かにサービスショットではないかと! 「バイオハザード」冒頭のお色気ミラ・ジョヴォヴィッチといい勝負、つうか全然負けてないです(笑)。ほんと真っ白で綺麗な肌してるよな〜。髪ぐちゃぐちゃにして爪とか顔とか汚くしててもその美しい肢体は隠せないわねレイフ!きゃ!(末期) あと最初の方の畑にうつぶせになって「母さん…」のシーンが好き。抱きしめたい…!(<ヤメロ)

それからジグソーパズルをやってる場面があるんだけど、完成が間近になってきたところで、うわあああ!ってバラバラにしちゃう、そこがすごく切なかった。わからないから苛々して、というよりも、どこか完成するのを怖がってるように見えました。パズル=記憶の組み立てというメタファーだと思いますが(あからさまだな…)、過去と向き合うのはスパイダーにとって究極の恐怖なんだよね。だからラストシーンの安堵の表情もまた一層切ないわけで。

もう一人、賞賛すべきはミランダ・リチャードソン!びっくりした。女優さんはすごいな〜。最初の胸を見せた女は別人って、私も言われてから気付きました(笑)。どこでどう入れ替わってたのか確認したいー。


あとは何だろう。グロさはなかったけど、独特の映像美はクローネンバーグらしかった。オープニングの雰囲気とかめっちゃ格好良かったです。それに抑えめの音楽がまたイイんだわ。ハワード・ショアとは相性抜群ですね。


そんな感じで今、見た人のご意見を片っ端から聞きつつ語り合いたい気分ですよ。というかその前にもう一回見直したいですよ。もう!明日のレディースデイはコリン・ファレル鑑賞のために(アフレックではなく)「デアデビル」の予定だったのに!クローネンバーグめ〜(笑)。



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スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする
【SPIDER】

2002年 カナダ・フランス・イギリス / 日本公開:2003年
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:レイフ・ファインズ、ミランダ・リチャードソン
ガブリエル・バーン、ブラッドリー・ホール
(劇場鑑賞)


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