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うむー。これは何と説明したらよいだろう。すごく不思議な世界。ドニー・ダーコという高校生の男の子がある日現れたウサギ(相当グロテスク)に世界の終わりを告げられて、そこから始まる“28日6時間42分12秒”の物語。
いきなり核心に触れるような発言で申し訳ないのですが、タイムトラベルに必ず付いて回るパラドックスを逆手にとった発想、つまりそこを矛盾ではなく見せ場にしてしまうような演出は確かに斬新だと思います。思うんだけど、うーん、…私は、いまひとつ、好奇心を刺激されませんでした。「マルホランド・ドライブ」みたいに半券持参すれば二回目以降はリピーター割引で観られるシステムを取り入れてるようですが別に再度観直してまで細部を明らかにしたいとは思わなかったなあ。一度で全てが理解できたから、というわけでは勿論ないですが。
あと、この映画は“サリンジャーとフィリップ・K・ディックの奇妙な混合物”だと監督自ら述べている、というようなことがパンフレットに書いてあって、それが個人的にとても気になりました。P・K・ディックはともかく、どの辺がサリンジャーなんだろう? 精神を病んでること、それから中盤で“インチキ”に対する嫌悪を露わにするところに例えばホールデンとの共通点を見いだせるとしても、それは極めて形式的なコードの一致に過ぎないと思うなあ。本質が違う。…あ、いや、それは違って当たり前なんですけど、要するに、少なくとも私個人はこの映画を観てサリンジャーを連想することはできなかった、ということです。だからどういう風に“奇妙な混合物”なのか、その混じり気具合に興味がある。監督自身のコメントも載せてくれればよかったのになー。
キャストでは、制作も手がけたドリュー・バリモアが英語教師の役で出てます。同じく教師の役で「ER」のカーター先生(←ノア・ワイリーと言えよ)なんかも。そうだ、それから久々に見たパトリック・スウェイジが何やら胡散臭くてちょっと笑えました。しかも微妙に似合ってたぞその役(笑)。
****** ドニー・ダーコ 【DONNIE DARKO】
2001年 アメリカ / 日本公開:2002年 監督:リチャード・ケリー 出演:ジェイク・ギレンホール、ジェナ・マローン ドリュー・バリモア、パトリック・スウェイジ、メアリー・マクドネル (劇場鑑賞)
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