土曜日の晩、
やはり、疎水沿いのホタルを見に行くことにしました。
南禅寺から哲学の道を経て、
ずっと疎水は北上し、高野川の下へといったん姿を消します。
松ヶ崎の浄水場の前で、地下から再び顔を出す疎水は、
もう水流もすっかり弱まって、一見とまっているような・・・
そんなわずかで静かな水の流れです。
その水のまわりは草が生い茂り、
時折、グゥエッ、グエッ と低いかえるの鳴き声がいたしました。
しばらく行くと、くさのかげに、ぽうっとひとつ光を見つけました。
「ほら、あそこにほたるがいるよ」と話をしていると、
ご近所の方が、
「ここよりもっと西、下鴨本通に近いところに、
ぎょうさんおるさかいに、そこまで行ってみいや」と
おっしゃってくださいました。
そこで、自転車を降りて、西に向かってそぞろ歩いていくと、
ぽぅっ ぽぅっ と、光が徐々に増えていきました。
そして、下鴨本通より少し手前になると、、
桜の木のまわりで、いくつもの光が飛んでいる様子が見られました。
川のすぐそばを飛んでいるホタルは、
その光の軌跡が川面にも映り、それがわずかに揺れています。
ふと、近くで飛んでいた二つの光が、寄り添いながら、
草のしげみに降りていきました。
まぁ・・・カップルになったのね♪ ぽっ
橋の上でうろうろしていたら、
一人の女性が、娘の方にすすっと駆け寄ってきて、
両手を娘の方に差し出し、
「ほら、ホタル・・・♪」と、
娘の手に、そおっと、ホタルをのせてくれました。
ホタルはおとなしく娘の手の上で光っています。
しばらくして、ホタルさんに飛んでいってもらおうと、
娘は木の枝になりきって、人指し指をツンと空に向かってたてました。
それでも、ホタルは飛び立つ様子もなく、
娘の指に、じっととまって、ぽうっと光っています。
それはとても幻想的で美しい、この世にひとつしかない指輪のようでした。
娘は「ホタルさん、ゆうちゃんから離れて行ってくれへ〜ん」と
嬉しいような困ったような・・・やや複雑な様子。
しばらくして、ようやく、
ホタルの指輪さんは、草のしげみへと移ってくれたのでした。
家に帰ってきてから、
南禅寺から北上する疎水の流れのことが気になりだしました。
そして日曜日・・・
買っただけで満足して、本棚に飾ってあった状態の
『インクライン物語』(田村喜子・中央公論社)を読み始めました。
明治初期の京都の様子もうかがえて、なかなかおもしろいです。
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今日もよい1日でありますように・・・♪
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