彼が会社勤めを辞めて独立したのは50を過ぎてから。 きっかけは何かと目をかけて下さった当時の会社の社長さんが 亡くなったからだと思っていた。
ところが、意外にも独立ということはかなり前から考えていたらしい。 最近父と話してそのことを知り、正直言って驚いた。
「サンピンさん(社長の名前をもじっていつもこう呼んでいる)が 亡くなったら退職金云々はともかく、すぐに辞めるつもりだったよ。」
今考えればその選択は間違っていなかったらしい。 更に父は続ける。
「銀行にもなぁ『失敗とか、考えなかったんですか?』って 聞かれたけど、後ろに滝壺があって前から狼が来ているとすれば (滝壺へ)飛び込むしかないだろう? モタモタしたらこっちが食われるんだから。 でも、ただ飛び込むんじゃない。 岩にぶつからなさそうな所とか、自分が浮かび上がれそうな所を 選んで飛び込むんだよ。」
・・・なるほどなぁと思ったと同時に、父が少し格好良く見えた。
勿論その陰に『やりたいと思ったら、やればいいじゃない』と 一言サラリと言ってのけた母の言葉もあったのだけれど。
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