去年の暮れ、実母が手配して送ってくれた 市販の『ごさい漬け』に重しをしておいたのを取り出した。
(『ごさい漬け』は塩漬けにした生の秋刀魚か鰯のブツ切りを 大根や聖護院と一緒に漬けたお漬物。 千葉や茨城の太平洋沿岸地域では昔からあったらしい。)
市販品のそれは、届いた頃はまだ秋刀魚も本当に生で 背骨も食べられないほどではないにせよ どうしても口の中に残ってしまう。 大根も何か秋刀魚の味が馴染んでない。
2kgの漬物に7kgの重しをのせ、時々水を捨てながら 冷暗所に放置しひたすら我慢すること約2週間。
そろそろかなと思う頃には、ものっっっすごい匂いになる。 2重にしてあるビニール袋を開けた途端、 わっと魚の発酵した匂いが部屋に充満してしまう。 急いでお玉である程度の量を密封できるタッパーに移しかえ (服についたら洗わないと落ちないくらいの匂いなので) 再びビニール袋の口をギチギチに閉める。
発酵して背骨まで柔らかくなった秋刀魚を口に放り込んで ニンマリする私を、今年も相方は怪訝そうに見ていた。 ちなみに拙宅でこのお漬物を食べる人間は、私一人だけである。
去年は少し忙しくて、自分で市販品に足す塩漬け秋刀魚を 用意できなかったことが今更ながら惜しかったと思う。
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