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2006年03月21日(火) 第136週 2006.3.13-20 シックス・ネーションズはフランス優勝、コモンウェルス・ゲームズ

この土日は様々なスポーツ・イベントが重なった週末でした。スポーツ・イベントにまつわる諸々には、社会・文化面からの「お国柄」の違いが如実に表れて興味深いものです。

(シックス・ネーションズはフランス優勝)
まずはラグビーですが、土曜日に今年のシックス・ネーションズ大会の最終戦が行われました。
もっとも優勝に近い位置にいたフランス(試合前の時点で3勝1敗、得失点差+57)とウェールズの一戦が三時キックオフでウェールズの本拠地カーディフで行われ、接線の末に最後の最後でフランスが小気味いいトライで逆転勝利をもぎ取り、2年ぶり15度目の大会優勝をほぼ決定付けました。
試合の前半を近所のパブでTV観戦したのですが、客の大半がビール片手に「フランス負けろ」という念力を発しつつ観戦している雰囲気がひしひしと伝わってきました。イングランド優勝の可能性が消えているなか、彼らにはウェールズを応援するというよりもフランスの優勝を阻みたいという心理が働いていたようです。

フランス戦が終わった五時からは、もう一方の優勝候補であったアイルランド(試合前の時点で3勝1敗、得失点差+30)とイングランドとの試合が、イングランドの本拠地トゥイッケナムで行われました。
優勝の目がほぼなくなった両チームのゲームだったにもかかわらず、一進一退の大接戦となる好ゲームが展開されました。後半残り13分で同点に追いついたイングランドが、同5分にPGで得点をあげて均衡を破り勝負あったかと思われたのですが、残り2分でアイルランドの逆転トライが決まり、結局はアイルランドの勝利でノーサイドとなりました。これにより、アイルランドは優勝こそ逃したもののトリプル・クラウン(グレート・ブリテン島の三チームに勝利すること)の栄誉を獲得しました。

フランスが優勝するシックス・ネーションズは、イングランドにいると何となく盛り上がりませんが、フランスとしてはホスト国を務める2007年のW杯に向けて弾みがついたことでしょう。

(WBCは日本優勝)
日本人としては、週末のスポーツで最大の関心事は「野球」でした。WBC(World Baseball Classic)準決勝戦(韓国戦)のプレー・ボールは、当地時間の日曜日午前三時ごろでした。
英国ではWBCは報道すらほとんどされておらず、TVでの中継など期待すべくもありません。日曜早朝、たまたま起きていたこともあり、日本のインターネット・サイトにアクセスして試合経過をウォッチしていました。
結果はご承知のとおり韓国に対して雪辱を果たすことになり、ようやく日本人として溜飲を下げることが出来ました。当地時間の火曜早朝に行われた決勝戦(キューバ戦)も快勝したようで、色々あったWBCですが、結果としては日本人にとって誠に素晴らしい大会になったといえましょう。

BBCウェブ・サイトを見ると、さすがに決勝戦の結果については報道されていました。ただし、“sport”→“other sport”→“baseball”とリンクをたどらないと当該記事までたどり着けませんが。選手の中ではイチローのコメントが多めに引用されていて、日本のメディアでは紹介されていない内容のものも含まれています。

(コモンウェルス・ゲームズ)
さて、日曜早朝、ネットでWBCの実況を横目で見つつ、テレビではコモンウェルス・ゲームズを見ていました。最近のBBCは、昼夜を問わず大半の時間をコモンウェルス・ゲームズの中継に割いています。
といっても、こちらは日本人にまったく知られていないのではないかと思うのですが、コモンウェルス・ゲームズとは、コモンウェルス=英連邦諸国の間で行われる四年に一度の大きなスポーツ・イベントで、今年は豪州メルボルンにて開催されています。参加国にとってはオリンピックに次ぐ重要なスポーツの祭典ということになります。開会の辞は、英連邦の頂点に君臨するエリザベス女王によって行われたそうです。

英連邦については以前に紹介したことがありましたが(2005年11月14日、参照)、コモンウェルス・ゲームズのウェブ・サイトFAQsを覗くと、改めて英連邦やコモンウェルス・ゲームズに関する興味深い実体を知ることが出来ます。
例えば、以下のQ&Aです。

What is the Commonwealth?
(コモンウェルスって何?)
The Commonwealth is a unique family of developed and developing nations, a voluntary association of independent sovereign states spread over every continent and ocean. From Africa to Asia, from Pacific shores to the Caribbean, the Commonwealth's 1.7 billion people make up 30% of the world's population and are of many faiths, races, languages and cultures.
(様々な国で構成される緩やかな連合。世界人口の30%に相当する17億人が属しており、広範な地域の中に様々な宗教、人種、言語、文化の人々が含まれている。)

How many Commonwealth countries can take part in the Games?
(何カ国がコモンウェルス・ゲームズに参加できるのか?)
Although there are 53 Commonwealth countries, there are 71 Commonwealth Games Associations that can enter a team in the Commonwealth Games. This is because some Commonwealth countries have more than one CGA. An example of this is the United Kingdom, which is a single Commonwealth country, but which has seven CGAs, as Scotland, England, Northern Ireland, Wales, Isle of Man, Jersey, and Guernsey, all compete in the Games as separate nations.
(コモンウェルスは53か国で構成されているが、コモンウェルス・ゲームズに参加できるのは71チーム。なぜか?例えば、英国から参加できるのは、スコットランド・イングランド・北アイルランド・ウェールズ・マン島・ジャージー島・ガンジー島の7チームという具合に、国家の数と競技に参加するチームの数は一致しない)

What sports are in the Commonwealth Games?
(コモンウェルス・ゲームズにはどんな競技種目があるのか?)
The Commonwealth Games sports programme consists of a minimum of ten sports, five of which are obligatory - athletics, aquatics - race swimming, lawn bowls, rugby 7s (Men), and netball (women).
The host country selects other sports from an approved list of individual sports which are archery, badminton, billiards and snooker, boxing, canoeing, cycling, diving (as part of aquatics), fencing, gymnastics, judo, rowing, shooting, squash, synchronised swimming (as part of aquatics), table tennis, tennis, ten pin bowling, triathlon, weightlifting, wrestling and sailing. Additional team sports can be added subject to the approval of the CGF through the General Assembly.
(最低10種目で競技が行われ、うち5種目は必須。必須5種目とは、陸上競技・水上競技(競泳)・ローンボーリング・7人制ラグビー・ネットボール。その他は所定のリストから主催国が選択して決める)

まず、最初のQ&Aですが、コモンウェルスの解説文の中に「英国」への言及が一切ないことに気づきます。一般に日本では、コモンウェルスは英連邦と翻訳され、英連邦の前身が大英帝国であることも歴史的事実ですが、現在ではもしかしたら英連邦という訳は適切ではないのかもしれません。

二番目のQ&Aも興味深い内容を含んでいます。英国がスコットランド以下独立性の極めて高い4つの地域に分かれるというのは、ラグビー等でもお馴染みですが、さらに連なるマン島やジャージー島とは何か?
これらは、英国王室の属領(Crown dependency)であり、女王に対して君主としての忠誠を誓っているものの、連合王国(United Kingdom)には含まれない島々です。ウィキペディアによると、「内政に関してイギリス議会の支配を受けず、独自の議会と政府を持ち、海外領土や植民地と異なり高度の自治権を有している。 欧州連合にも加盟していない。したがって、イギリスの法律や税制、欧州連合の共通政策は適用されない。ただし、外交及び防衛に関してはイギリス政府に委任している」となっています。通貨についても独自通貨の発行が許されているそうです。

三番目のQ&Aですが、必須5種目の一つであるネットボールとは初耳です。ただ、いわれてみればBBCの中継で見たことがあります。バスケットボールに似た競技でした。

コモンウェルス・ゲームズの第一回大会は、1930年にカナダのオンタリオ州・ハミルトンで開催され、前々回(1998年)はマレーシアのクアラルンプール、前回(2002年)はイングランドのマンチェスターで行われたそうです。そして、次回2010年の大会は、インドのデリーでの開催が予定されています。


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