Experiences in UK
DiaryINDEXpastwill


2005年02月14日(月) 第78-79週 2005.1.31-2.14 チャールズ皇太子の再婚、今年のシックス・ネーションズはウェールズ

(チャールズ皇太子の再婚)
10日朝、突然飛び込んできたビッグ・ニュースがチャールズ皇太子再婚のニュースでした。
例のカミラさんと4月8日にウィンザー城で結婚式を行うと。
両方とも離婚経験者ですが、離婚した者どおしの再婚は英国国教会で本来は認められないことなどから、現在のエリザベス女王が亡くなった後、カミラさんはクィーンと呼ばれず、「国王の連れ合い(Princess Consort)」という称号になるそうです。
ヘンリー八世が自身の離婚・再婚をごり押しするために捏造したのが英国国教会の始まりであるはずなのに、おかしなものです。

ところで、英国世論は今回の再婚に関してどう考えているのでしょう。当地に来てから色々な英国人と話をしていると、一般の人たちの間でのダイアナ人気の根強さとその裏返しにある現在の王室に対するネガティブな感情を知らされることが多かったように思います。
このため、従来からこの二人の再婚に関しては反対意見が多く、ダイアナさんが事故死する直前(97年)の世論調査によると、67%の英国人がチャールズ皇太子とカミラさんの再婚に反対という結果が出ていたようです。しかし、最新の世論調査では、辛うじて過半数(52%)の人が再婚を認めていたそうです。ほとぼりが冷めてきたということで、本人たちも再婚に踏み切ったのでしょうか。
なお、これらの世論調査結果は、再婚のニュースが初めて報道された翌日に手元に届いたエコノミスト誌に紹介されていました。プレスには前もって知らされていたのでしょう。

(シックス・ネーションズとライオンズ)
世界でもっとも古い伝統を持つラグビーの国際大会であるシックス・ネーションズ(04年2月16日、参照)が始まりました。開幕の週、ウェールズの地元カーディフにおいて、イングランドがウェールズに破れるという番狂わせがありました(私は必ずしも番狂わせとは思いませんが)。
今回のシックス・ネーションズは、英国内の四チームにとっては、通常とは違う意味合いを持っています。今年は四年ぶりにブリティッシュ・ライオンズが結成され、夏にニュージーランド遠征が予定されている年だからです。
ブリティッシュ・ライオンズとは何か?英国政府による日本向け広報ウェッブ・サイトの説明がいちばんコンパクトでわかり易いようなので、以下に引用します(なお、同ウェッブ・サイトUK NOWは、英国に関する広範な情報が網羅されていて非常に有益です)。
『ラグビー協会の海外遠征チーム「ブリティッシュ・ライオンズ」は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドおよびアイルランド共和国を代表しています。1899年にオーストラリアに遠征したチームが初の全国代表でした。「ブリティッシュ・ライオンズ」の称号は1924年に南アフリカ遠征を行ったチームに与えられたといわれています。選手がネクタイにライオンの紋章をつけていたので、地元ジャーナリストがこの新語をつくったということです』。
今回のシックス・ネーションズ大会は、春に結成されるライオンズのメンバーを選抜するうえで重要な意味をもつというわけです。

(今年のシックス・ネーションズはウェールズ)
今年の大会で注目されるのは、近年優勝から遠ざかっている二チーム(ウェールズとアイルランド)が非常に充実している点です。
90年代以降の同大会で7回も優勝しており、一昨年のW杯覇者ともなったイングランドは、昨年来の低迷から依然として脱出できずにいます。必ずしも弱くはないと思うのですが、大黒柱であるジョニー・ウィルキンソンが手術後のリハビリから復帰してキャプテンに指名された直後に再び怪我でリタイアしてしまったことに象徴的されるように、どうもチームの歯車がかみ合わないという感じです。昨年優勝のフランスも、いまひとつ調子に乗り切れない感じがあります。
週末にそんな両チームの試合が行われ、イングランドの地元トゥイッケナムでフランスが逆転勝ちしました。キックをことごとく成功させたフランスとことごとく失敗したイングランドの差が勝負の分かれ目でした。結果的に大接戦にはなりましたが、内容は凡戦だったといえましょう。
強豪二チームの低迷を受けて今大会の勝敗の行方は混沌としており、その中で上記二チームの充実振りが目を引いています。

これら二チームですが、アイルランドは85年を最後に優勝がありません。しかし、昨年秋には、ホーム・ゲームながら格上の南アフリカに勝ちました。今大会も開幕から二連勝の好スタートを切っています(相手は、イタリアとスコットランド)。
より期待が大きいのがウェールズです。ウェールズは79年に優勝してからは、二回しか優勝していません(88年と94年)。それでもウェールズのシックス・ネーションズでの優勝回数は、最多イングランド(35回)に次ぐ34回ですから、70年代までのウェールズがいかに強かったかが分かります(ウェールズでは、ラグビーは国技とみなされている)。
昨秋のウェールズは、ニュージーランド、南アフリカの両チームと僅差の好ゲームを演じ、日本にはぼろ勝ちしました。日本戦を目の当たりにした私は、日本の弱さとともにウェールズの強さを実感しました。さらに、現在のウェールズにはスター性のある選手がそろっています。イングランド戦で逆転のゴール・キックを決めたガビン・ヘンソン(センター)や華麗なステップが売りのシェーン・ウィリアムス(ウィング)、プレーに気迫が漲る闘将ガレス・トーマス(フルバック、キャプテン)などです。今大会、やはり二連勝の好スタートを切りました(相手は、イングランドとイタリア)。
私としては、今年のシックス・ネーションズは、ウェールズに注目したいと思っています。

(チケット買えず)
イングランド代表の試合が行われるトゥイッケナム・スタジアムはうちから車で20分の距離にあります。この前、カーディフでテストマッチの雰囲気を体験してすっかり魅了され(04年11月29日、参照)、せっかく近くに住んでいることでもあるし、相対的に人気薄と考えられるイタリア戦でも見に行ってみるかと思い、チケット購入方法を調べてみました。
七万二千人も収容するのだから、席を選ばなければ潜りこめるのではと考えたのですが、まったく甘かったことが判明しました。イングランド・ラグビー協会のウェッブ・サイトによると、「シックス・ネーションズを含む国際試合のチケットについては、すべてイングランド・ラグビー協会に所属するラグビー・クラブとラグビー・スクールを通じて販売される」とのことでした。一見さんは完全にシャットアウトされていたのです。

ところで、イングランド・ラグビー協会に所属するラグビー・クラブというのはどれくらいあるのでしょう。ウェッブ・サイトから検索できるのですが、当家から10マイル(約16キロ)の圏内になんと129もあるそうです。これこそが、日本のサッカー協会が範とする地域密着型のスポーツ・クラブ・システムなのでしょう。


DiaryINDEXpastwill

tmkr |MAIL