Experiences in UK
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2004年04月12日(月) 第34-35週 2004.3.29-4.12 耳ざわりな英語、プーさんの森、セブンシスターズ

英国では、9日からイースターの4連休が始まりました。

(耳ざわりな英語)
外国で生活してみて初めて分かったことの一つに、単に生活しているだけでは英語はまったく上達しないということがあります。ロンドンのような英語圏の大都市であれば、「慣れ」だけで十分に生活をしていくことは可能です。ただ、最近強く感じるのが、食べて、飲んで、仲間と遊んで、街をぶらぶらしているだけなら、野良犬と同じだなということです(もっとも、英国の街にあまり野良犬はいませんが)。
英語に関しては、最低限の人間らしい暮らしができるよう「努力」をしないといけないと改めて思う昨今です。

ところで、少し古い話になりますが、3月24日付のTIMES紙1面に英語に関する面白い記事が出ていました。記事のタイトルは、"Is this the most irritating paragraph you will ever read?"というもので、Plain English Campaignという団体が発表した「耳ざわりな英語・ワースト10」に関する記事です。
日本語にもありますが、あまりにも多くの人が安易に連発してしまっている言葉とか、言葉の本来の意味や文法的な正確性を無視して乱用されている表現とか、いまやあまりにも陳腐になってしまっている比喩表現などのワースト10です。
栄えある(?)1位に輝いたのは、「at the end of the day」(結局のところ)でした。確かに頻繁に耳にします。慣用句といえばそれまでですが、大袈裟な表現ですね。2位以下は、「At this moment in time」(現在)、「like」(まあ、その)、「With all due respect」(ごもっともではありますが)などでした。
これらは全世界のPlain English campaign賛同者に対するアンケート結果なので、いわゆる米語もランクインしています。私が判断するところですが、以上の他で特に英国で多用される英語としてランクインしていたのは、「basically」(基本的に)、「absolutely」(絶対に)などでした。
オリジナルの調査結果は、http://www.plainenglishcampaign.com の3月23日付プレスリリースで閲覧することができます。

(プーさんの森 Ashdown Forest)
イースター休暇の1日を利用して、イングランド南東部のケント県、イーストサセックス県を訪れました。イングランドにおける県(county council)とは、首都圏(Greater London)と6つの大都市圏(Metropolitan Area)を除いた地方圏の自治体の単位のことです。現在、イングランド内には34の県があります(時々、州と訳されることもあるようです)。イングランド南東部は、東からケント、イーストサセックス、ウエストサセックス、サリー、ハンプシャーなどの各県で構成されています。
うちから車で1時間半ほど南下したところにあるハートフィールドという村は、「クマのプーさん」の原作者ミルンが住んでいた場所であり、プーさんの物語の舞台にもなった典型的なカントリーサイドです。ハートフィールドの南にある広大な「アッシュダウンの森」はプーさんワールドの中心です。我々は、息子の体力と相談して、駐車場から往復1時間程度の「プーさんの棒投げ橋」という木橋までの散策を楽しみました。
ハートフィールド村にはPooh Cornerというプーさん専門店があります。名物プーさん博士が店長をしているプーさん・フリークの聖地のような店らしく、天井に頭がつきそうな小さな建物の中にありとあらゆるプーさん関連商品が並べられています。
妻が店内を徘徊している間、息子を連れて隣のプライベート・ガーデンで日向ぼっこをしていた時、英国人男性と1〜2才の女の子の親子が入ってきました。少し話をしたところ、私と全く同じ状況で奥さんの徘徊が終了するまでの暇つぶしをしているとのことでした。私の泥だらけのウォーキング・シューズを指さして「棒投げ橋に行ったな?」と聞くから「そうだ」と答えると、「僕は15年ぶりに訪れたけど、この辺もずいぶん観光客が増えたものさ。プーさんで人寄せにご執心のようだからな。もっとも、ここの自然はなんにも変わってないけど。15年前もあのmuddyな道を通って僕の靴もあなたと同じように泥だらけになったものさ」と語ってくれました。ちょっとニヒルなものの見方が英国人らしいなあと思いながら聞いていたのですが、プーさん目当ての一観光客としては少々ばつの悪い思いをしました。

(アルフリストン Alfriston)
ハートフィールドから真っ直ぐに南下して海岸まであと少しのところにアルフリストンというこぢんまりとした町があります。車を運転していると、イングランドにしては比較的アップ・ダウンのきつい田園風景が続く中で、忽然と現れるといった感じの町です。大型の車ではすれ違うのに苦労する程の細い車道をはさんで十数軒の商店が続いているだけのハイストリートが中心の町で、歩道や建物に赤れんがが多用されている点が特徴的です。また、町をあげてクラシック音楽好きというのもこの町の特徴らしく、パブやティールームのBGMがすべてクラシック音楽とのことです。
町のたたずまいにひかれて、車を止めて少し町歩きをしました。何があるというわけでもないのですが、落ち着いた景観と上品な雰囲気、周囲の自然風景が絶妙にマッチしていて、不思議に魅力的な町でした。

(セブンシスターズ Seven Sisters)
イーストサセックスの海岸沿いには、セブンシスターズという魅力的な名前を冠された景勝地があります。石灰石でできた白亜の岸壁が延々と続いている場所で、7つのうねりがあるところからセブンシスターズと呼ばれるようになりました。
写真で目にされたことのある方もいらっしゃるかもしれませんが、青い海と空が広がる中で、太陽の光に照らされた剥き出しの白い岸壁が7つのうねりを見せながら続く様は見事であり、一見の価値有りの観光スポットです。
セブンシスターズそれ自体の圧倒的な自然美もさることながら、そこにたどり着くまでのなだらかな起伏とともに果てしなく続く草原の風景などこの辺り一帯が、雄大な自然の魅力を存分に感じさせてくれる場所でした。海岸沿いに1軒だけあるホテルからセブンシスターズの幾つ目かの峰の上にある灯台まで、片道30分程度の草地を徒歩で登っていけるようになっています(このようなウォーキング・ルートをフット・パスと言い、英国内には無数のフット・パスが設けられています)。その頂から海側をみると湾曲して美しくうねる一連の岸壁群が見渡せ、反対側に目をやると羊が点在する緑の大地に一筆書きのように車道が続く眺めが広がっています。
岸壁の上のフット・パスは端から端まで延々と続いているのですが、半日かけて踏破してみるのも悪くないかなという気がしました。


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