Experiences in UK
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2004年03月08日(月) 第30週 2004.3.1-8 シンプソンズ、BARホンダ

土曜日に行われたラグビー6ネーションズ・マッチが、波乱の結果となりました。W杯の覇者イングランドにアイルランド戦で黒星がつきました。
イングランド戦は地元トゥイッケナム・スタジアムで行われたのですが、トゥイッケナムでのイングランドの敗戦は99年以来とのことです。アイルランドにとって快挙といえましょう。
試合前日の当地新聞に出ていた新キャプテン・ダラリオへのインタビュー記事で、W杯優勝後初めてのトゥイッケナムでのテストマッチ(国代表の試合)ということへの重圧が語られていましたが、その影響もあったのでしょうか。テレビでゲスト解説していた前キャプテンのマーチン・ジョンソンは、「なるべく長い時間を相手陣内でプレイするというシンプルなゲーム・プランを着実に守ったことが奏功した」とアイルランドの健闘をたたえていました(ちなみに、ラグビー競技における「アイルランド」チームとは、アイルランド共和国と英国領北アイルランドの連合チームです)。

(シンプソンズでのディナー)
今週、ミュージカルをみに行きました。たまたま所用で行けなくなった知人からチケットを譲ってもらったのですが、私にとっては生まれて初めてのミュージカルでした。この方面に疎い私には内容についてうまく批評する知識や能力はありませんが、賑やかでお洒落なコメディだったので(演目は「シカゴ」です)、全く飽きることとなく2時間を過ごすことができました。
私にとって興味深い体験は、ミャージカル前のディナーでした。開演が8時だったので、それまでに劇場近くのレストラン「シンプソンズ」で軽めの夕食を取りました。「シンプソンズ」は、伝統と格式を誇る当地で最も有名な英国料理レストランの一つです。
大きめの木製回転ドアを通り抜けると受付とクロークがあり、受付で予約を入れている旨を告げると、用意された席まで案内されます(なお、この日は、子供を信頼できる人に預けて妻と二人で出かけました)。店内は、毛足が長めの絨毯を敷き詰めただだっ広い空間に座席が並べられているだけで、全席を見渡せるごくシンプルなレイアウトが新鮮でした(かつてこの建物は、ジェントルマンのクラブだったそうです)。天井からは豪華なシャンデリアがいくつもぶら下がっており、壁面には年代ものらしき調度や意味ありげな大きな絵画が飾られていました。席まで案内してくれる人、ドリンクの注文をとる人、スターターの注文を取る人と細かく役割を分担した全ての店員は、「グッドイーブニング、サー」と慇懃な挨拶とともにやってきて手際よく仕事をこなしていきます。

料理は迷うことなく看板メニューのローストビーフを注文しました。シェフが肉塊を載せた大きなトローリーを引っぱって席の隣まで来て、肉を切り分けてくれます。店名が刻印された真っ白い大皿の上に、ぺろんぺろんと切ったばかりの数片の肉を載せてソースをかけ、その周囲に付け合わせの野菜をごろごろと無造作に転がし、最後にヨークシャー・プディングという得体の知れないお菓子のようなものを添えて完成です。決して安くない高級レストランの料理の割には、盛りつけに何の飾りっ気もないところが英国風なのでしょう。見てくれではなく中身(味)で勝負という質実剛健の精神なのだろうと、シェフが去ってからおもむろにナイフとフォークを手に取り、しばしその味を堪能しました。
料理の味の判定はひとえに個人の趣味の問題であるし、たった一回の体験から言えることは限られていると思いますが、何の変哲もないローストビーフだったというのが偽らざる感想でした。
英国料理を堪能しようとして、気張ってこの有名レストランの看板料理を口にする観光客は数多いと思いますが、個人的にはその辺の気の利いたパブのパブ飯を食べる方がはるかに意義深いと感じました。「雰囲気」は大いに楽しめましたけど。
「英国料理は悪評高いけど、カネさえ出せばおいしい料理が食べられる」という説は正確ではなくて、後段は「カネさえ出せばおいしい各国の料理が食べられる」だと思います。英国料理に関しては、余計なカネをつぎ込まない方がむしろいいような・・・。
2コースのコースメニューで、一人15.75ポンドでした。

(BARホンダ)
日曜、F1の今季開幕戦がオーストラリアのメルボルンで行われました。
今年の私の楽しみの一つは、BARホンダチームの応援です。我々が英国に来たその年のラグビーW杯で地元の人たちとともに応援したイングランドチームが優勝したことは、この国への親近感を高めるという意味で本当にラッキーなことだったと思います。今年、同様の思い入れをBARホンダチームに注ぎたいと思っております。思い入れるだけの理由が十分にあるのです。

BARというのは、99年から参戦している英国の新興F1チームですが、当初よりホンダ・エンジンとタッグを組んできました。ホンダは、今回が3度目のF1参戦になります。過去2回は、ご存じの通り、F1の世界にホンダ無敵時代を築いてきたのですが、今回は苦戦が続いています。ただし、BARホンダチームは徐々に成績を上げてきました(昨年のチーム成績は5位)。とりわけ今季のマシンは非常に高い前評判が囁かれていて、本命(フェラーリ、ウィリアムズBMW、マクラーレン・メルセデス)を脅かすチームとして、もっとも注目度が高いチームの一つと考えられています。
日・英タッグで昇り調子というのは、チームだけではなくて、ドライバーにも当てはまります。BARホンダチームの今季のドライバーは、英国人のジェンソン・バトンと日本人の佐藤琢磨です。どちらも若手有望株なのですが、とくにバトンの速さは現在のF1界でも折り紙つきで、つい先日も名門で優勝候補のウィリアムズ・チームへのシーズン終了後の引き抜きの噂が流れたほどです(本人が否定しましたが)。バトンはF1レーサーとしては背が高くてハンサムなので、英国内での人気も非常に高いレーサーです。佐藤琢磨も、昨年1年間をBARチームのテストドライバーとして過ごしたうえでの満を持してのフル参戦であり、マシンへの理解やチーム内でのコミュニケーションなどの点でたいへん期待が持てます。

さて、開幕戦の結果は、昨季まで5年連続チャンピオンを続けているフェラーリの2台が圧勝しました。BARチームは、バトンが6位(予選4位)、佐藤が9位(予選7位)で、まずまずの結果だったといえましょう。十分に今後に期待できる内容でした。目標は、年間ランキング3位です。


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