Experiences in UK
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2004年02月16日(月) |
第27週 2004.2.9-16 nationとstate、英国のお城ベスト10 |
(ラグビー・6ネーションズ開幕) この週末から、ヨーロッパにおける(あるいは北半球における)最大のラグビー大会である「6ネーションズ」が始まりました。英国の4チームとフランス、イタリアの各代表が戦う国別対抗戦です。「6ネーションズ」の歴史は古く、原型ができたのは1910年にさかのぼるといわれています。そもそもはイタリアを除く「5ネーションズ」で開催されており、イタリアの参戦により「6ネーションズ」になったのは、つい数年前のことです。 今大会のイングランドは、W杯の優勝メンバーからかなり変動があります。イングランドのラグビー史に残る強力なキャプテンシーでチームを引っぱったマーチン・ジョンソンがW杯優勝後に引退を表明し、新キャプテン(ローレンス・ダラリオ)の下での戦いになります。また、チームのもう一人の要だったジョニー・ウィルキンソンは、肩の手術に踏み切って今大会は欠場します。 昨年は完全優勝を果たしたイングランドですが、新メンバーになった今年はどこまでやれるでしょうか。
(nationとstate) それにしても、例によって英国は4チーム(イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドの各代表)が出場するわけですが、これを堂々とnationsと言ってしまうのはすごいなあ、と日本人の私は思ってしまいます。辞書の解説によると、単に政治的統合としての国家を意味する言葉がstateであり、民族の共同体という面を強調する場合にはnationを用いるとされています。 学術的にはより厳密な議論が展開されます。ある本では、nationとはラテン語のnatio(おのずから生まれたもの)を語源とする言葉であり、種族や言語や歴史等の同一性に基づいた自然的単位と説明されています。一方で、stateとは主権や領土を有する社会制度のことを指し、両者は歴史的にはまったく別のものとして存在してきたのであり、概念として画然と区別されるとしています(以上、村上泰亮「反古典の政治経済学」より)。 nationとstateが歴史的必然性をもって融合されたのが近代の国民国家(nation-state)であり、実はそれはヨーロッパ(と日本)に固有の現象(歴史的例外)だったという解説は、近代国家論などで標準的な見解だと理解しています。一方で、多くの非近代国家は無理矢理「国民国家」を造らされたが故に、nationとstateの間のきしみが様々な場面で多くの悲劇を生んできました。ちなみに、その意味ではアメリカは、自然発生的なnationではなく理念に依拠したtrans-national stateということになります。 小難しい話になりましたが、私が「6ネーションズ」という言葉から思ったことは、イギリスという国はnationとstateの融合が不完全なままで現在に至っているヨーロッパの奇形児なのではないかということです。stateとは別個に、あからさまに堂々とnationがまかり通っている近代国家など他にあるのでしょうか。これはイギリスのしたたかさを表しているものであり、平然と二枚舌を使い分けられるところが、イギリスのイギリスたるゆえんかなと思ったりもします。
(英国のお城ベスト10) ところで、英国テレビの地上波には5つのチャンネルがあり、1と2がBBCで、その他が民放です。3チャンネル(ITV1)はスポーツに強く、4チャンネル(Channel 4)は教養系、5チャンネル(FIVE)はバラエティ系という印象です。 先日、5チャンネルで、英国のお城ベスト10という番組がありました。視聴者の投票などによるランキングのようでしたが、第10位から順番にお城の歴史や魅力を伝えていくという内容でした。英国のお城にはまだ行ったことがないので、非常に興味深く見ました。 ベスト3は、3位がティンタジェル城、2位がエジンバラ城、そして1位はウォーリック城でした(ベスト10の結果は、ココで見ることが可能)。 テレビで見ていて感じたのが、イギリスのお城は、ウィンザー城などを除いてほとんどが現在は遺跡みたいなものだと思うのですが、周囲の風景との調和という点では、いまもしっかり息づいているなあという点でした。いずれ実際に訪れて確かめてきたいと思っています。
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