Experiences in UK
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2003年10月20日(月) |
第10週 2003.10.13-20 夜のパブ、スリに遭遇 |
(夜のパブ) 英国といえばパブです。パブの昼の顔についてはすでにご紹介したことがありましたが、パブが本来の顔を見せるのは夜の時間帯です。 パブは、人の集まる地域に行けばそこここに沢山あります。各店が独自の雰囲気を持っているのですが、どの店にも共通していることがあります。飲むのは主にビール(ただし、その他ウィスキー、スピリッツの類もおいている)、座席は窓際や壁際に少しあるけど多くの人が立って飲む、店の外で立って飲んでいる人も多数、メニューに一応食べ物もあるけど何かを口にしている人はほとんどいない、という点がほとんどのパブの共通項です。つまり、パブという場には共通の決まった「形」があり、形とは文化のことなので、パブは英国文化を象徴する一例ということになるのだと思います。 「のり」としては、日本の居酒屋や一杯飲み屋と同じです。サラリーマンや学生が連れ立ってビールや酒を飲みに行く、あの「のり」です。英国人ビジネスマンがパブの外でたむろして飲んでいる様子は、有楽町のガード下あたりの飲み屋の店外テラス(?)席で飲んでいるサラリーマンの風景と同じですし、店内で立ち飲みしている光景は、梅田地下街の一杯飲み屋か串揚屋でコップ酒片手におだをあげているサラリーマンを彷彿とさせます。
(スリに遭遇) オフィス近くのパブに週に1回くらい立ち寄ってから帰るのですが、先日、そのパブで穏やかでない事件に遭遇しました。 その日は金曜の晩で、店内はまさに立錐の余地がないというくらいに混み合っていました。我々は立って飲んでいたのですが、少し動くと周囲の人にぶつかるという感じです。 1時間ほど飲んだ頃、私の隣の同僚が足下に置いていた自分のバッグがないと言い始めました。我々は直ちに周囲を探し回りましたが、時すでに遅しで、どうやらスリにやられたようでした。中身にたいしたものが入っていなかったのは不幸中の幸いでした。 たまたま私はバッグを肩にかけていたのですが、私の場合、ノートPC、手帳、携帯電話など失うと致命的なダメージを受けるものが入っていたので、肝を冷やしました。なにしろすられた人は私の隣に立っていて、彼のバッグは私の足下にあったのですが、スリの気配にすら気づきませんでしたので。 確かに、立って飲むパブでは荷物がすられやすい状況にあるといえます。とくに混雑していると肩にかけるのが億劫になってバッグを床に置きがちですので、スリにとっていい狙い目になるのでしょう。 こちらに来て2か月あまりが過ぎ、犯罪に対する警戒モードが緩みつつあった時期なので、すられたご当人には申し訳ないのですが、いい勉強になりました。
(ラグビーW杯2 イングランドv.s.南アフリカ共和国) 先週に続きラグビーの話題になりますが、オフィスの現地スタッフの女性でラグビーの大ファンがいます。彼女は普段はおとなしく仕事をしているタイプなのですが、ひとたびラグビーの話になると力強い身振りと熱い表情でイングランドに対するオマージュを語り始めます。 先週末の試合(スコットランドv.s.ジャパンとイングランドv.s.グルジア)後の週明け、不用意にも「ジャパンは残念だったけどおめでとう」と言うと、「(ジャパンに勝った)スコットランドはイングランドの敵よ。私はジャパンを応援していた」と強く抗議されてしまいました。私はイングランドが勝ったことに対しておめでとうを言ったつもりでしたが、それがうまく伝わらなかった結果の大失態です。 ラグビーに限らない話ですが、一般的に英国における「英国人」はインド系英国人など出自が外国の人であり、それ以外の人々の意識は「イングランド人」であったり、「スコットランド人」であったり、「ウェールズ人」であったりするということは、他の場面でも経験しました(スコットランド出身者に対して「あなた方英国人は〜」と話しかけて訂正された)。これは、たとえば日本の県民意識などとは比較にならないほどに強くかつ根深いもののようです(民族や歴史から現在の国の体制までが大きく異なる)。
なお、先週に行われたジャパンとスコットランドの試合に関する当地メディアの報道ぶりですが、ジャパン(世界ランキング15位)なんぞにスコットランド(同7位)が敗れるという歴史的事件が起こりそうだったという取り上げ方がほとんどでした。私が見た一般紙における報道に限った話ですが、「事件」を回避できたのはラッキーだったとしたうえで、スコッツの不甲斐なさとジャパン善戦に対するパニックぶりを指摘している記事が多かった印象です(Times,FT等)。 ジャパンの善戦は、今年のWカップ序盤における最大の話題の一つになっている様子です。今週末のフランス戦での大健闘もそのような見方に拍車をかけています(もっとも、この試合は私はTV観戦できませんでしたが)。 今週末に行われた予選リーグ大一番の一つであるイングランドv.s.南アフリカ共和国戦は、もちろんTV観戦しました。ランキング1位と5位の好ゲームというだけではなくて、4年前のW杯同カードでイングランドが惨敗しており、それを糧としてその後のイングランドが飛躍的な強化に成功したという背景があるのです。この4年間のこのカードは、必要以上にヒートアップすることが多かったこともあり、当地メディアでは4年前の借りを返す因縁の一戦という位置づけをして大いに盛り上がっておりました。 結果は、ご案内の通りイングランドの快勝ということで、筋書き通りにひとまず英国人は溜飲を下げたという訳です。今回の試合も負傷者続出の熱い好ゲームだったと思います。前半をよくしのいだイングランドが、後半のラッキーなトライ以降は主導権を握りましたが。キッカーの違いが明暗を分ける一因となりましたね。 これで、順当に行けば、決勝リーグ・決勝戦は、イングランドとニュージーランドのランキング1位と2位の対決になりそうです。
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