Experiences in UK
DiaryINDEXpastwill


2003年09月29日(月) 第7週 2003.9.22-29 バス待ち、リッチモンド・パーク

今週に入ってから気温がぐっと下がり、最高気温が20度を大きく割り込む日もありました。当家のセントラルヒーティングもいよいよ稼働を始めました。

(バス待ち)
バスを待つ、という行為が生活の一部となるのは小学生以来です。小学校低学年の時にバス通学をしており、学校の前のバス停で延々バスを待った思い出があります。神戸での学生時代も駅から大学まで、バスは欠くべからざる通学の足でしたが、ここのバスはさほど待つ必要はなかったですし、あまり授業に出ていなかったこともあって、バスを待つことが生活に埋め込まれていたような記憶はありません。
現在、出社時は始点となるターミナルからバスに乗るので停留所でバスを待つ必要はないのですが、退社時は毎日バス待ちがあります。ロンドン・バスには、日本のように時刻表なるものが存在しないのですが、大方のバスが10〜15分おきに出ていると言われているので、その程度待てば乗れるというのが一般論です。私が乗る14番Putney Heath行きのバスもその程度の待ち時間で乗れるというのが平均的な姿です。しかし、例外はあるわけで、先日、8時過ぎにバス停に立った私がバスに乗れたのは9時でした。

ただ待たされただけなら、「辛かった」とか「寒かった」で終わるのですが、加えて「悔しかった」が加わる点がロンドンならではかもしれません。
まず、待ち始めておよそ40分後にようやく来たバスが、定員オーバーを理由に停留所を通過していきました。しばしばあることなのですが、定員オーバーの基準は運転手(ないし車掌)の恣意的な判断であり、たいがいは物理的には余裕がないわけではないように思えます(ただし、2階は全員着席がマスト。1階も立っている人は5人までというルールが一応あるにはあるらしい)。思いっきり手を伸ばして「乗ります」と表現している当方に向かって、運転手は両手を横に広げて「悪いが、通過するよ」と乗車拒否のメッセージを送って通り過ぎていきました。
そして、バスを待ち始めて1時間後、やはり混雑したバスにようやく乗れたのですが、大きな交差点を曲がる時にふと横を見ると、同じ14番のガラガラのバスが後ろから追い抜いていきました。これは、イギリス人であれば「Typical!」と言って舌打ちするような場面です。つまり、長時間待たせたあげくに、同じ行き先のバスが2台連なってやってくるというロンドン・バスの常套パターンです(3台とか4台いうこともよくある)。なぜそうなるのか知りませんが、大いに不条理を感じる瞬間です。
そんなわけで、辛く悔しい1時間のバス待ちを経験しました。これも英国生活者として通るべき関門なのかもしれません。

(リッチモンドパーク)
週末、リッチモンドパークへ出かけました。リッチモンドパークは、当家から車で10分程度の場所にある広大な公園です。
リッチモンドといえば、私の事前情報は2つだけでした。1つが、隣人ロビン氏が「リッチモンドパークは素晴らしいから是非行くように」と強く勧めてくれていたこと。2つ目が、知る人ぞ知る日本人が書いた英国関連書籍「しっぽだらけのイギリス通信」の著者が住んでいた場所であり、著者の娘がミック・ジャガーの娘とクラスメートだった(つまり、ミック・ジャガーの住居がリッチモンドにある!)ということくらいでした。
行ってまず驚くのは、公園の広さです。後でガイドブックを見て知ったのですが、この公園はかつての王室の狩猟場で、最大の王立公園とのことでした。園内に車道が通っていて、移動は車です。
そんな広い敷地に何があるかというと、子供向け遊具、出店などの類は一切なく、ひたすら草原が広がっていて所々に木が植わっているという景色が延々と続いています。なだらかなうねりのある自然風景の中で、動きのあるものとして、車道を走る車とハイキングを楽しむ人間と野生の鹿の群れがぽつぽつと配置されています。また、時々ホースロードを馬が駆け抜けていきます。まったくもってシンプルな風景です。ここは色んな意味で贅沢な大人の公園です。
あれだけ鹿がいれば、鹿せんべい売りが一儲けしようとしても不思議ではないのですが、鹿はあの広さの中を自由に動き回っているため、鹿見物スポットを定めがたく、ビジネスが成立しないのでしょうか。もっとも、角を切っていない野生鹿に近づいて煎餅を与える勇気のある見物人もそういないでしょうが。
リッチモンドパークの「内」側はそんな様子でしたが、同公園は丘の上にあるため「外」側のながめも素晴らしいものでした。展望所からは、ロンドン市内を一望することができました。
リッチモンドパークは、数時間の滞在ではとても全体像を掴みきれないスケールの大きな公園でした。


DiaryINDEXpastwill

tmkr |MAIL