* * 今日の空色 * * by * yuk!na
モクジ * カコ * ミライ
また少し、少し、浮上。
昨日、受かる可能性の高そうな企業から電話があり、 「落ちた」と連絡がありました。
落ち込む両親を見て、遣る瀬無い気分になりました。 「あぁ、アタシの所為で、こんなに辛い思いをさせてるんだなぁ」と。
もし、アタシが器用で、さっさと内定を取っていたら、 今頃、入社式などして、 両親は「就職おめでとう」と、にこやかに笑っていたでしょう。
ごめんね、パパとママ。
だけど、昨日の「落ちた」という連絡で、アタシは逆にスッキリしました。 「あぁ。やっぱりアタシには無理なんだな」と諦めがついて良かった。
今まだ、選考中の企業がある。
これが終わったら、本当に止めようと思う。 それからの事を、今から考えるとする。
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今日、パパからメールが来た。 ママに内緒だよと付け加えて。
アタシは5、6歳くらいから犬が飼いたいと思っていた。 でも、ママが犬が苦手で、何度言っても、嫌そうだから我慢してた。
アタシはきっと家にあまり居ないだろうし、ママはいつも居る。 ママにとって、嫌な犬が毎日毎日居るのは、かわいそうだろうと思ったからだ。
そんなコトを考慮しての事だった。
もしも、飼いたければ、アタシが自立してから飼えばいい。 そう思っていたから。
その事で、パパがメールをくれたのだ。
そのメールの中でパパはこんなコトを言っていた。
「ゆきなは人の心を読むのが天才的だから、ママは多分ダメと 言うので話は中断(or 止め)にしたのかな。」
あはははっ。天才的かぁ。 ――パパは続けて言う。
「相手が何を思い何を考えているなど 全く無視し、一途に気持ちを表すべきだよ。
犬の件についてママは多分反対なんでしょう。 ダメと言えばゆきなが下りる、その程度の願い事 と思われているのではと感じるよ。」
これは面接にも通じるとも書いてあった。
そうかもしれない。 そうなのかもしれない。
けれど、ママの気持ちや相手の気持ちは、分かれば分かるほど、辛いんだよ。 そして、無視して、強行する事が出来るほど、アタシは強くもなれない。
だから。。。今まで就職活動してきたんだろう。 そして、だからこそ。。。今まで決まらなかったんだろう。
パパとママは暗に言っていた。 「OLさんになった方が良い。」と。 ゆきなの好きにすればいいと言いながらも、本当は違ってた。
アタシはそれを知ってて、OLは嫌だ(アタシには無理だ)と思いながら でも、親の考えを変えるのは無理で、きっと一般的にそれがいいんだと思って、就職活動をしていた。 自分の思いや、気持ちを押し込めてた。きっとこれでいいんだと思って。
でも、決まらなかった。 面接官が、アタシの一言でピクッと動く時がある。 アタシの一挙一動で、表情が、ほんの少し変わる。 アタシはそれが、怖かった。
「あ、ダメなんだ。」 面接の途中ですぐわかる。 最初から、ダメだと分かる時もある。 あの愛想笑いの裏の顔。
「天才的」
言われて嬉しくは、なれない。 しかも、「親」に。 アタシは、もっと鈍感で良かった。 分かってて、無視するのは痛い。 何も分からないで、自分の思うように生きて行ける人が羨ましい。
昔、ママが言ってた。 「普通が一番幸せなのよ」
「普通」をずっと嫌ってた。 でも、今は「普通」がとても羨ましい。
アタシは脱線して、砂にまみれた泥人形のようだ。
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