懊悩煩悩
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胸をえぐられるような衝撃。 古本屋で購入してから長らくほったらかしにしておいた漫画「ニジンスキー寓話」(有吉京子・秋田書店)をふと思い立って読む。バレエの振付師とダンサーの相克を描いたもので、魂の底から揺さぶられるような、人間の内面に深く切り込んだ作品。読みすすめていくうちに、自分ですら覗いたことのない胸の奥を掴まれたような言葉に出来ない痛みが身体を巡っていきました。この作品は全4巻で、最初は2巻ぐらいで読むのをやめておこうと思っていたら作品がそれを許してくれず、ぐいぐい引っ張りこまれて最後までもっていかれてしまいました。よどみないペンタッチから描きだされる魂の叫び。躰の奥のまだ更に最奥の、未知の領域を引きずりだす黒と白と――灰色の世界。決して大衆性を獲得する作品ではありませんが、人の心を激しく揺さぶる何かがあります。時間のある時に、ゆっくりと読みすすめていただきたいおすすめの漫画です。
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