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なぞなぞハウスが閉館するため、 ここのマンションの敷地内の駐車場が空く。
うちの車は、マンションの目の前にあるよその駐車場を借りていたのだが、 毎月毎月その駐車場の大家さんの家に行ってお金を納めていた。 結構それが面倒だったりした。
大家さんは地元でも有名なお金持ちで、そして面倒見もよく、地元のリーダー的存在。そして私の実家の父の同級生。そしてうちの旦那の小、中学校の大先輩。 つまり私の実家の父と私の旦那も同じ小、中学校の先輩後輩。 …あ、そんなことはどうでもよかった。
そんな大家さんの家へ、毎月専用の封筒にお金を入れて持っていくのだが
「そんなとこに立ってねえで入らいん。(入りなさい。)」
ということになり、お茶までご馳走になっていた。
「みがん(みかん)持ってきなさい。」
と、お土産までいただいたりしたことも。 じゃ、そろそろ失礼しようかなぁ…と思うと
「おじゃっこ(お茶)一杯ってことはねえべぇ。」
と、更にもう一杯お茶をご馳走になったりする。 うちの旦那が行くと、2時間以上もお茶飲みをして帰ってこない。 私はささっとドライに帰ってくるのだが、旦那はとても気に入られているようで厚いおもてなしを受けるようだ。
いまどき玄関にかぎをかけず留守にできる、のんびりした雰囲気の大家さんの家。 なんだかとっても懐かしい匂いがして、行ってしまうと話も面白くなかなか良い時間を過ごしたなぁ…なんて思うのだが…
行くまでが結構億劫なのだった。
大家さんは、ちょっとエスニックなモンキーチックなお顔立ち。 昔旦那と行ったエスニックな雑貨屋さんで見かけたモンキーの置物にそっくりでビックリしたこともあった。 つぶらな瞳が特に似過ぎていた。
しかし、 なぞなぞハウスが閉館することで4月からマンションの敷地内駐車場が空く。 そこに入れれば、もうエスニックモンキーへのお参りはなくなる。 急いで不動産会社に電話して確認をとってみた。 結果は4月からそこを使用してOKとのことだった。
エスニックモンキーとの想い出を大切にし、我々は新しい駐車場に思いを馳せる。
今までありがとう、エスニックモンキー。 面倒な月1回のお参りがなくなりちょっとホッとしている反面、 やはりあのお茶のみタイムは我々のような未熟者夫婦を大人にしてくれた大切なレッスンだったと思える。
やはり春ってちょっぴり寂しい季節だ。 多かれ少なかれ生活の何かに変化がある。 億劫だったお参りも、今となればちょっと楽しかったかも。
そんな風にちょっぴりおセンチになっている私の頭上では今日も
ドドドン!!ドドドン!!
となぞなぞハウスから不思議な音が。 …今度はなんの音だろう?と、不思議な顔をしていたら
「別れ太鼓だよ。」
と、旦那が教えてくれた。
なぞなぞハウス閉館まであと2日。
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