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2002年04月14日(日) 庭を散歩する父と母

その旅館は、インターネットで予約したものだった。


全部で8室しかない、小さな旅館なのだが料理がとてもよかった。
どれも手がこんでいて、心がこもっているなぁと感激。

夕食は隣の12畳の部屋でということだが、時間制限はないとのこと。
「ゆっくり食べてくださいね」
と仲居さんが言った。
私達がこっそり頼んでおいた刺身の盛り合わせとケーキと、それからパンダもスタンバイしていた。

パンダがケーキを運んでくれるという設定だったので、パンダのぬいぐるみを着た人が廊下でケーキを持って立っていた。

「よろしくお願いします」
と妹と私ら夫婦でパンダに挨拶をすると、ぬいぐるみ独特の、無言のオーバーアクションでぺこりとおじぎをしてくれた。

妹いわく、
「さっき荷物を部屋まで運んでくれたあのおじさんだよ。中に入ってた人」
とのこと。

いよいよ父と母が夕食の部屋にやってきた。その間パンダはみつからないよう廊下のどこかに隠れていたらしい。

さて、いよいよパンダの登場!という絶妙なタイミングで母は
「トイレ行ってくる」
と部屋のトイレに行ってしまった。
慌てて廊下のパンダに、もう少し待つよう指示を出す。(心のBGM:スパイ大作戦)

何も知らず母が戻ってきた。

さあ、はじめましょうか…

ちょっと白い部分がうす汚れてはいるがかわいいパンダが登場。
旦那と妹がクラッカーをパンパンとならす。
子供がうまれてはじめてぬいぐるみを見るように、びっくりする父と母。
約束通り、ケーキを母に渡すパンダ。
そのケーキとは、なんと私らの地元ではちょっと有名なケーキ屋さんのものだった。わざわざ遠くまで買いに行ってくれたようだ。パンダめ。

「ところでさっきのクラッカーって誰が用意したの?」
と妹に聞くと
「パンダから手渡されたの」
と言った。気がきくパンダだ。

チェックアウトの今日。

旅館の裏には散歩にうってつけの庭があり、そこには川も流れている。父と母がそこで散歩をしていた。
いつまでもみんな元気で、そしてこんな日がいつまでも続きますように。



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