友とは何か。愛とは何か。

MAD TIGERの
のも ...
〜〜  ヲ タ ク の 魂 1 0 0 ま で  〜〜


2006年10月10日(火) 内なる怒り

昨日の夜に、非常に驚くことがあった。
驚きつつ、怒りも込み上げる。自分の感情は間違っているのだろうか。
それを此処に書き連ねたい。

一昨日、親戚が来ていた。
本家の遺産相続の関係で、伯父の世代が『長男vs三男(の息子)』の様相を呈してきたとき、
中間意見の次男と、三男(の息子)の味方となっていたのがウチ(四男)だ。
とにかく長男は昔からの「長男が引き継ぐ」ということにこだわっていたのだが、
今本家を本当に守っているのは故・三男の妻と息子であり、また、祖母を最後まで介護していたのも三男だから、
三男(の息子)に継がせるべきだというのがウチの考え方だった。
結局それは、長男が折れる(大分三男側も譲歩しているが)という形で治まり、今も本家は健在だ。
その、三男の嫁(伯母さん)と、息子と、娘が、揃って来てくれた。
17年ぶりに来たらしい。ちっさい家でお恥ずかしい限りだ。
そこまでは良かった。

それが一昨日で、いきなり昨日父親から「TIGERから貰った万年筆、Rちゃん(娘)にあげたから」
と言ってきた。「ハァ!?」と驚く自分。
「だって幼稚園で書き物とかいっぱいあるって言うからさ」と言われ、
「意味わからん。幼稚園の先生が万年筆やないと字がかけないなんて初めて知った」と皮肉ってやる。
その万年筆は、いわくつきだった。
仕事場で自分が買ったものを、父親に見せたところ「書きやすい」と父親の好評を得たのだが、
その頃にはもう販売が終わってしまっていたから、手に入れられなかった。
でも父親が欲しい欲しいと言うため、自分は同僚に頼み込んで譲ってもらった。
譲ってもらったどころか、同僚は「いいよ、お父さんにあげるから"大事に使ってね"って言ってね★」と言って
”くれた”のだ。
こんなに有り難い、嬉しい話はない。同僚の優しさにも胸を打たれた。
そうやって手に入れた万年筆を、父は旅行にもって行くまでして喜んでいた。

それをだ。

いきなり来た姪に、いきなりあげるなんて。
TIGERが買ってあげたものならいざ知らず、頼み込んで譲り受けたものを
とっとと人にあげるという、その精神がおかしいと自分は思う。
多分、自分からプレゼントしてから1週間くらいしか経っていない。あまりのことに、笑いが出た。
居間でそれを聞いた自分には、いとこがやって来てたその場の想像がつく。
きっと自慢気に"叔父さん"は万年筆を見せびらかしたのだろう。
で、「いいですね!」とか「ステキですね」とお世辞で言ったところ、先輩風を吹かせ(叔父さん風?)て
「じゃあいいよ、あげるから持っていきなさい」とでもなったのだろう。
「えっ・・・」となる従姉弟たち。だってそれ、明らかに古臭い感じだけど、となる従姉弟達。でも言えない。
受け取って「よ、幼稚園で書き物いっぱいあるし、使わせていただきます」となる姪ッ子。
最近の子があんなセルロイドの昔っぽいのを好むわけないだろーが!!!



もうね、その父親の見栄がすごくて、ガッカリですよ、がっかり。
従姉弟はなんも悪くない。
悪いのは、うちの父親の頭だけです。←酷い




つーことで、そこいらの怒りも含めて昨日は就寝したため、本日は11時に起きてそのまま部屋で
小説の執筆にかかっても誰もなんも言わなかった。
いつもだったら起きろだの、部屋を片付けろだの言うのだが、今日は言われない。
フンだ。自分は怒ってんですよ、という風を現しながら、ひたすら江戸を執筆。

結局本日の引き篭もりにより、昨日の9行から大量の江戸執筆に成功。
400字詰め原稿用紙30枚と2行、総行数602行、総文字数8952文字。
ヒャッホ――イ!!やったね!!この勢いで引きこもりたいもんだ!!

なんだか調子良くいきそうなので、以下に冒頭をのっけときます。
題名は未題。
血なまぐさいのが嫌い、刀で斬られるのが嫌い、痛いのが嫌いな人は読まない方がいい鴨。
そんな人は昨日の日記(乙女ロードとBL)に関してのチョメチョメ文章を読んでください。



時は安政5年(1858年)4月。蒸し暑い"子の二刻"の事だった。月が霞を纏い、強風に吹かれた雲がさらにその姿を覆い隠す。
人々が寝静まり時折野犬の遠吠えが聞こえる中、突然1人の男が闇夜の街に走り出た。
宿屋から転がり出るや否や、ありったけの脚力で街路を駆け抜ける。
長い髪を一つに括り上げているため、走る度にそれが馬の尾のように揺れた。額からはしきりに汗が流れている。
走りながら腰刀の鯉口を緩め、引き抜く。右手にそれを構え直してさらに速度を上げ、身を低くして駆け続ける。
雲の切れ間から差した月光によって、刀の白刃が鋭い輝きを放つと、脇の小道から男が躍り懸かってきた。
「覚悟!」
刀を構え一声を発すると、襲撃者は小道から一気に大通りへ駆け出て、逃亡者の背後から太刀を振りかぶった。
逃亡者は振り返る間もなく、右手を反して横に薙いだ。
目に見える相手を斬るというより、闇を切り裂いたようなものだった。
その薙いだ刀に手ごたえを感じた瞬間、襲撃者の悲鳴とともに、逃亡者の右手から頬にまで生暖かい飛沫が駆け上がり、散った。
そして逃亡者自らの左肩には、ズシリと重く、熱い衝撃があった。
「こ・・・・この野郎」
逃亡者の瞳に怒りが宿った。ギリギリと噛み合わせた歯が、闇にぼんやりと光った。
悲鳴を上げる襲撃者が、まるで行き倒れになった者のように無防備に身体を崩し、倒れこんだ。
腹を斬られたのか手を添えて唸りながら、その瞳は、助けを請うように逃亡者を見上げる。
「情けだ」
逃亡者は言い、襲撃者の喉笛に刀をゆっくりとあてる。
襲撃者は目を見開いた。
その血走った瞳に映るのは、黒い影が自らの喉にひんやりとした刀を添える姿と、さらに遠い向こうでひたすら白く輝く月だけである。
叫び声が止まり、体がぶるぶると震え始めた。その股間がじっとりと濡れていくのが解る。
逃亡者は力を込め、容赦なく刀を引いた。
襲撃者の瞳が見開かれたまま輝きを失っていく。その喉は大きな口を開けたように、うなじと延髄を残してパックリと裂けている。
何も言わせることもなく、最後の言葉を聞こうともせず、逃亡者は襲撃者を斬り殺した。
土埃の舞う砂利道を、襲撃者から流れ出た黒い血液が急激に侵食していった。
雲煙が月を覆い隠すと、周囲がまた暗澹たる静けさに包まれる。
逃亡者は小さく息を吐くと周囲に視線をめぐらせながら、大きく円を描いて刀を振った。
ひゅっと空を裂く音をたて、白刃から血が振り落とされる。
切っ先を鯉口にあて、左手の親指と人差し指で刃を挟みながら、ゆっくりと鞘へ刀身を収めた。
左手の指と、右半身には乾き始めて粘着性を持った、他人の血液がこびりついている。
「・・・・ッ」
逃亡者は、自らの左肩に右手を当てた。その着衣の左肩部分は斬られていた。
襲撃者の刀が、逃亡者の着衣はおろか肉までをも傷つけたのは、周囲に滲み出てくるどす黒い血液が証明していた。
騒動で辻番所の番人がやって来たのか、遠くから話し声と雑踏が聞こえてくる。
目を覚ましたらしい木戸番小屋の番太郎が点けたのか、行燈のゆったりとした灯りが格子窓から漏れてきた。
勢いを増して噴出しようとする血液を押しとどめるように、傷口を強く抑えながら、男はさらに歩き出した。
男の額から汗が落ちる。
押さえても押さえても。今にも噴出しようとする自らの血潮が左肩に渦巻いていた。
『今襲撃されれば冥土行きだな』
遠のく意識で思いながら大股で歩き、やがて一つの屋敷の門が僅かに開いているのを見つけた。
男は周囲に目をくばり、僅かに開いている門を背で押して開け、体を滑り込ませる。
ゆっくりと内側から押し戻して門を閉じ、閂(かんぬき)をかけた。




小説としてはまだまだ続く。




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