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■ 海の石
私の母が四国八十八ヶ所巡りから帰ってきました Hの写真を首に掛け「供養に行きたい」と 母が出掛けてから寂しい日々を送っていました
先日旅先から電話が掛かってきた時には 「Hさんが亡くなってから今まで私は泣いた事がなかったの なんて冷たい女なんだろうって自分でも思っていたのよ けれどね 今日、海へ行ったらHさんの元気な笑い声が聞こえて来て 思わず涙が出てきたの 海で拾った石を持って帰るわね」と 私の母は話してくれた
Hと私の母は仲が良く 母にワインの美味しさを教えたのもH いつも「お母さんどうぞ」と 手土産にワインを持って来ていた 私の母は好き嫌いがはっきりしている人で 気にいるワインがあると 12本単位で購入してしまう人だ 「はいHさんの分ね」と半分の6本を持たせて帰していた
私の母がHに会いに最後に病院へ訪れたのは 3月21日であった もう長くはないと感じた母は 最後の別れの日だと決めていたらしい
私の祖父母は現在健在である 祖母はHが亡くなる前日に病室で 痰がゴロゴロと鳴るHの姿を見て両手を擦っていた 祖父はHが亡くなるまで病気の事は知らず 「最近Hちゃん来ないねぇ」などと言っていた Hが亡くなった事を知らせると Hの自宅に駆けつけ 「私が変わってやりたいー」と遺体にしがみ付き泣いていた
私は今でも目を閉じアベマリアを聞くと Hの最後を想い出す そしてHと繋がってる気になる
2002年05月29日(水)
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