奇跡を信じて〜あれから〜
R



 

今朝、会いに行くと
苦しそうでも痛そうでもなく幸せそうな顔をしながら
Hは眠っていた
じっとHの顔を見つめていると
涙がHの頬をつたい流れていった
どんな夢を見ているのだろう
今日は少し長い時間病室にいる事ができた為
Hの心の変化をゆっくりと観察してみた
少し気持ちが暗い部分まで落ちている様子で
軽い鬱状態であると感じた
当然
全てはないにしてもある程度の事を告知しているわけで
こうなるのも当然である
痛みが軽くなってきたとは言え
身体が自由にならないわけで悲観的な感情が出てきて
当然だと思う
「辛いよ」とHは言う
元気だった頃はバリバリ仕事をこなしていただけに
今の自分の姿はHにとっても周囲にとっても悪夢なのである
「辛いよ」と聞いても私は励まさない
どんな言葉を繕ってみても
きれいごとにしか聞こえないだろうし
相手の気持ちを考えると
励ましの言葉は厳禁であると思う
Hの楽しみは唯一お風呂に入る事
Hが望む事をお手伝いさせて頂く
必要以上に気を使うと
その事すらHの負担になるかもしれない
お見舞いに来てくれる友人達には
Hは自分の状況を隠さず話す
それでもHの知っている事は全てではない
Hの古くからの大切な友人には
帰りがけエレベーターの所まで送った時に
「また会いにきてあげて下さい」と
Hの知らない部分の状況を話したりする
「驚いたでしょ?」とか
「Rちゃん(私)は強いよね」と言われる事があるけれど
驚くひまもなく『覚悟』をする事と『奇跡を信じる事』を
同時にしただけで強くはありません
ただ、ひたすら奇跡が起こる事を信じてる

2002年01月31日(木)
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