2002年01月22日(火) |
記憶は支配できない・されない |
新聞を読んでいたら、フランスの思想家が、大事なのは人々の記憶だと言っていた。 軍事力によって制圧しても、人々の過去の記憶を支配することはできない。 権力者は、世界を視覚的にとらえることができると思っているのかもしれないが、人間の心の中は決して見ることができない。 どこかで、それに気がついているから、どんなに目で見えるものを作り上げたところで、人の不安は消えない。
NYのテロ以降、アメリカは自分たちが、世界をコントロールしていると思っていたが、自分たちが、世界に属しているのだということを、認めざるをえなくなった。これは、何よりも大きな変化だろう。
記憶が塗り替えられる、という話はSFによくあるが、個人の記憶こそ、その人間のアイデンティティーを形成する大きな要素なのだろうか? 私たちは、日々、五感を通して、自分たちの体験した記憶を意識するまでもなく、記憶していく。 匂い、感触、味覚、多くの器官を同時に通した記憶ほど、強く残る。 しかし、時間がたつにれ、記憶は人の意識の奥へと沈んでいく。でも、それは忘れたわけじゃない。眠っているだけ。 いつか、忘れてしまったようになるかもしれないけど、私は、彼の記憶をずっと抱いたまま、生きていくのだ。彼との記憶が、忘れたいものになってしまいませんように。
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