観能雑感
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2007年01月06日(土) |
国立能楽堂新春公演 特別公演 |
国立能楽堂新春公演 特別公演 PM1:00〜
雨脚が強い中今年最初の観能へ。ロビーには鏡餅が飾られていた。中正面前列脇正面寄りに着席。ほぼ満席。
能 『養老』水波之伝 シテ 関根 知孝 前ツレ 坂井 音隆 後ツレ 武田 文志 ワキ 福王 茂十郎 ワキツレ 福王 知登、永留 浩史 笛 松田 弘之(森) 小鼓 幸 正昭(清) 大鼓 河村 大(石) 太鼓 前川 光長(春) 地頭 岡 久広 字幕システム稼動後初の観能のため、気になっていた英語版を使用してみた。これが何と言うかex●te翻訳的で甚だ落胆。ツッコミどころ満載で「ネタですか?」と尋ねたくなる程。100%の翻訳というのは存在せず、言語を移し変えた時点で脱落するものが生じるのはしかたがないこと。この場合のように限られた字数で異なる文化背景を持つ人々に曲の内容を伝えるのは至難の業である。その点を考慮しても、もっと何となならなかったのか。言葉の表面のみを掬い取った訳語で本来の意味から遠くなってしまっている箇所が多々見受けられた。独立行政法人化されたため国立というのは名ばかりであるが、これで国立を名乗るのは恥ずかしい。もし自分が日本語を全く解さず、その文化になんの知識もない状態でこの訳語のみを頼りに舞台を観たら、本来の姿とは随分異なった絵を描いてしまうだろう。オペラの字幕作成より遥かに困難な作業であることを痛感した。しかし、製作者側がその困難さを認識しているかどうかは甚だ疑問。一方、詞章に関係なく舞台の進行状況を説明しているのはよいと思う。 字幕があまりにも笑撃的だったので、舞台はあっさり流れていってしまった。この小書の場合、後ツレは楊柳観音だがプログラムにはただ天女とのみ記載。長絹ではなく舞絹姿だった。せっかくの小書なのだから、シテの舞にはもっと勢いが欲しいように感じた。
狂言 『寝音曲』 シテ 野村 萬 アド 野村 万蔵
何度観ても飽きず、楽しい曲。明快な内容のためか、こちらの字幕は比較的まとも。しかし極めて単純な文法上の誤りあり。
能 『誓願寺』 シテ 田崎 隆三 ワキ 森 常好 ワキツレ 舘田 善博、森 常太郎 アイ 小笠原 匡 笛 藤田 次郎(噌) 小鼓 住駒 幸英(幸) 大鼓 安福 健雄(高) 太鼓 金春 惣右衛門(春) 地頭 近藤 乾之助
これまで観た田崎師の舞台の中で一番良かった。面の良さも手伝ってか前シテは神秘的な印象。ときおり役ではなく男性であるという本人が透けてしまうことがあるのが勿体無かった。 前シテの節木増に対して後シテは泣増。優美でたおやかな舞振り。が、後場で後列の老人から身勝手としか思われない怒声が響き、空気が凍りついた。歳を取っていれば何でも許されるわけでは決してない。新年早々実に厭な気分。一方その老人、自分の立てる音等にはまったく無頓着であった。あああ。 字幕上での和泉式部の説明はa woman known for love。これで恋多き宮中歌人を想起できたらズバリ超能力者だろう。
字幕システムは説明が終了した後電源が落ち、使用するには自らボタンを押さないとならないためか、使用している人は少なかった模様。自分が今後使用することはないだろう。
こぎつね丸
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