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■ 萌え本2冊
勤めだして間もない頃、本気で図書館司書の資格を取ろうと思っていました。 子どもで選択範囲も狭く、だいいち物事をよく知らなかったので、将来に「司書・学芸員」など考えもせず美術方面に進みました。 大学生活は充実していたし後悔はありませんが、仕事にするなら図書館関連と何故思いつかなかったのか、それだけは今も心残りです。
そんなわけで図書館が大好きです。 もちろん書店だってステキだけれど、図書館の独特の雰囲気に勝るところはありません。
まず館内が静かなこと。書物それぞれに「売らんかな」的過剰アピールがないこと。「求めよさらば与えられん」が顕現している唯一の空間。
先日書店で見つけた『TOKYO図書館日和』(冨澤良子/アスペクト)は、著者が都内を中心にお気に入りの図書館・図書室を紹介した秀作です。 豊富な写真と女性向けの装丁・レイアウトで、読書も好きだけど実は本に囲まれていることが好きという人にオススメです。
もう一冊は、その名も『工場萌え』(石井哲・大山顕/東京書籍)。 ハイ、パイプとかパイプとかパイプとか大好きです! コンビナートをテーマに、マンガ描いたことあるくらいですから(苦笑)。
「スター・ウォーズ」のデススター内部、「ブレードランナー」の白煙を吐く街、「パトレイバー」で嵐の海にそそり立つバベルの塔……あたしのイメージにある工場はどれもわずかに悪意を秘めていますが、この本の著者は限りなく優しいまなざしで昼夜工場を見守り愛しているのです。
パンピーの恋人をさり気に工場見学デートに同伴させる方法はなかなか手が込んでいて、ちょっとやそっとでは気が付かないかも。 なにより、夜のしじまに幻のように浮かび上がるコンビナートの写真が素晴らしく、見ていてため息が出ます。
横浜だと京浜工業地帯である鶴見線・海芝浦駅(終点)が有名でしょうか。ここはデートコースやお散歩コースとしてもよく紹介され、鉄男や鉄子さんにも人気のスポット。 東芝工場のための駅なので一般は駅構内から出られません。その代わり次の発車を待つ間、ホーム(ちょっとした庭仕様になっている)で潮風に吹かれながら海と工場を心行くまで堪能できます。 同じ鶴見線では、YMOのPV『プロパガンダ』に出てくる昭和駅も印象的でした。 ユーミンの番組だったか、大阪へ向かう新幹線の中で工場群へ降下してく飛行機を眺める映像も忘れられません。
「人間の体は工場のようなものだ」と語られる、天沢退二郎『光車よ、まわれ!』(この作品には幻想的な図書館も登場します)。海芝浦を舞台にした夢のような小説、笙野頼子『タイムスリップ・コンビナート』。工場に囲まれた街が舞台の、古屋兔丸『ライチ☆光クラブ』……何故こんなにも工場に魅かれるのか、自分でも分かりません。 もしかするとチョコレートに限らず、工場で本当はなにが作られているのか誰も知らない、おそろしく秘密めいた場所だからかもしれません。
2007年07月06日(金)
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