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■ サルトルをブン殴った男
ちょい前にNHKBSで、ジャン・ポール・ベルモント主演映画を特集してました。そんな中、昼間偶然目にしたのが『冬の猿』。なんと名優ジャン・ギャバンと共演してるじゃないですか! 他の用事全部ほっぽって魅入ってしまいました。メチャメチャ面白かったのよ、これが! あまりにツボど真中で、急遽原作本を取り寄せた次第です。
映画は1962年製作ですが、名画といわれていたにも関わらず日本で公開されたのは1996年になってからだそうです。アンリ・ベルヌイユ監督といえば『ヘッドライト』で有名な方。ちなみにこちらもジャン・ギャバン主演ですね。共演の女優フランソワーズ・アルヌールの名は、まんまサイボーグ003に採用したと、石ノ森先生からお聞きしました。
さてさて『冬の猿』ですが、冬の町に迷い出てきた猿を列車に乗せて森に帰すという中国の故事に基づいているそうです。 "平凡な生活"という森の中で抑圧されながら生きる二人の男は、自己の尊厳と誇りを持ち自由に生きられる新たな森に帰っていけるのか――うらさびしい北フランスの海辺の町を舞台に、断ち切れない情念をモノクロームの画面で淡々と語り上げる、いかにもフランスらしい映画です。
原作者アントワーヌ・ブロンダンは第二次大戦後の新世代作家のひとりで、当時フランスで主流だった実存主義に敢えて背を向け、文壇の知的安逸に一石を投じ注目を浴びたそうです。 晩年は酒場と留置場を行き来する無頼派となり、ある夜ナイトクラブで出くわしたサルトルの態度が気に入らないと、彼をブン殴った逸話があるそうです。果たしてとなりにボーヴォワールがいたのかどうか、興味が尽きませんですね(笑)。
2006年05月02日(火)
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